JCEJ活動10周年を記念した「メディアイノベーターズ」を発刊しました
日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)の活動10周年を記念し、「メディアイノベーターズ: 未来を拓くための記録」を発刊しました。メディア激動の10年を実践者として切り拓いてきた25人による「時代の証言」とJCEJの活動年表が収録されています。
2021年の5月から1ヶ月間にわたり開催したリレートークイベント「ジャーナリスト図鑑をつくろう!」を再編集したもので、25人がインタビューの聞き手、話し手、を担当しており、それぞれの問題意識を刺激され議論が盛り上がったのをできるだけ残すように工夫した結果、二段組で300ページというボリュームになりました。
活動年表を確認すると、2011年に設立した直後に東日本大震災が起き、それらの活動を進めながら勉強会やワークショップ、JCEJの取り組みの軸となる「ジャーナリストキャンプ」がスタート。2012年にはデータジャーナリズムに力を入れ、2013年にはデータジャーナリズムの海外視察やアワードを実施。2015年にはオンラインでのジャーナリズムの取り組みをみんなで盛り上げようと「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」をスタートさせました。
JCEJが「キャンプ」や「アワード」をスタートしたときに比べ、いまはスキルを学ぶ場や賞も増えており、JCEJの活動が一定の役割を果たしたと思います。
10年間の出版物は7となり、「A Field Guide to Fake News and Other Information Disorders(フェイクニュース調査のフィールドガイド)日本語版」、「 A Journalist‘s Guide to Social Sources(ソーシャルメディアを使った取材の手引き)日本語版」、「地域から外に発信するためのハンドブック」の3冊は、JCEJのホームページからダウンロードできます。
2018年に紙版を出し、2021年からKindleにも展開している地域から発信する際に必要な技術や心構えをまとめた「ローカルジャーナリストガイド: 地域で暮らし、地域から発信する人のための教科書」は、多くのNPOや大学で活用して頂いてます。
JCEJの活動は、前半は勉強会やワークショップといったイベントをどんどん進め、「キャンプ」と「アワード」に集約され、後半は冊子、ハンドブックなどに成果を取りまとめていきました。
10年の活動により、メディアやインターネット関係者だけでなく、NPOや地域活動を行っている人々とのつながりが生まれました。改めてJCEJ運営への協力に感謝します。そしてなによりも、困難な活動を続けることができたのは運営委員のおかげです。
「メディアイノベーターズ: 未来を拓くための記録」発刊を記念して、JCEJ運営委員がそれぞれの推し記事を紹介するオンラインイベントを行い、録画をYouTubeに公開しています。藤代の推しは、高知と朝日新聞で二度の新聞協会賞を獲得した依光隆明さんの「論より、ファクト」。「徹底して事実にこだわる回答が身に染みる」「素晴らしい話が笑いながら読める」です。他の記事も大充実ですので、ぜひご覧ください!
「メディアイノベーターズ: 未来を拓くための記録」目次
- 「プロの素人」たれ 足立義則
- 驚かせるために、驚く 開沼博
- 「組織から個人」は止まらない 亀松太郎
- 誰かを幸せにする仕事 與那覇里子
- 流通と制作を行き来する 三日月儀雄
- 媒体のことまで考えてみる 小野ヒデコ
- 原動力はテクノロジー 藤村厚夫
- ネットで分かるのは8割 岡本真
- 好きな場所から発信する 富谷瑠美
- 論より、ファクト 依光隆明
- データで議論する社会に 矢崎裕一
- 当事者が、権力になった 田村真菜
- 事実で人の好奇心に応える 石戸諭
- 誰もが使命と出会う 寺島英弥
- 続く仕組みをつくりたい 山田雅俊
- 併走しながら撮っていく 岸田浩和
- 記者と働くエンジニア 赤倉優蔵
- ズレを描き、本音を誘発する 清水淳子
- 10年たって言葉にできた 沼能奈津子
- 届けたい人に届いているか 新志有裕
- 取材方法をアップデート 井上直樹
- 時に聴診器、次に拡声器 安田菜津紀
- 会社の外で学べるって大事 耳塚佳代
- 「知ってほしい」を越えてゆけ 田中輝美
- 未来に対して仕事する 藤代裕之