昨年の参議院選挙で取り組んだ「選挙カフェ」について「インタラクション2026」と「仕掛学研究会」で発表しました。
政治関心にはあるが話しづらい
「選挙カフェ」は政治には関心はあるものの話題を避けがちという大学生の課題解決を目指したアイデアです。
日本財団の18歳意識調査によると「今の日本の政治についての関心」は47.7%があると回答していますが、政治について話す頻度は「政治については全く話さない」が約30%、政治知識に関する自信では「まったく自信はない」と「どちらかといえば自信はない」を合計すると約80%となっています。
選挙になると、「政治について語ろう」や「選挙について考える」というイベントが各地で行われますが、選挙や政治といったテーマが直接提示されているため、多くの若者にとって参加しづらいという課題を十分に解消できていないと考えました。
距離で提供する情報を設計する
そこで「選挙カフェ」では、距離に応じて見える情報を変化させる情報デザインを取り入れ、図のように遠くからは無料コーヒーを提供するイベントとして認識され、近づくと選挙をテーマにしていることが分かるように設計しています。もちろんイベントでは「選挙カフェ」という名称は掲げていません。
無料コーヒーは田中元子さんの『マイパブリックとグランドレベル』で紹介されているフリーコーヒーを参考にしています。

参議院選挙の実施時の簡単なアンケートでは、「選挙カフェ」で選挙について話すことに抵抗があったか聞いたところ、49名のうち「なかった」36名、「あまりなかった」9名、「ややあった」3名、「あった」1名となり、無料コーヒーをきっかけに選挙について話せる空間をつくることで、課題解決につながりました。
「インタラクション2026」でも実際にコーヒーを無料提供しながらポスターで情報デザインについて説明しました。「これなら政治についても話せそう」と大学生・大学院生の反応が良かったのが印象的でした。
選挙の会話を促す距離を設計した「選挙カフェ」の提案(高津こころ、小林里菜、野々山正章、藤代裕之)

コーヒーの名前で選挙を話しやすく
「仕掛け学研究会」ではコーヒー豆の味や風味と選挙の争点をかけ合わせたオリジナルネーミングを中心に発表しました。
コーヒー豆は「苦味」「オーソドックス」「酸味」 の三種類を用意し、それを選挙争点と組み合わせています。物価高は、苦みが強い豆と組み合わせ「インフレッソ」、年金は「年金ロースト」と名付けることで、場の雰囲気が和らぎ、選挙という硬いテーマでも抵抗感なく話せるように仕掛けを設計しています。
仕掛け学が重視するユーモアと目的の二重性を含んだもので、研究会でも「(苦?)笑い」を呼んでいました。
「選挙カフェ」ではオリジナルネーミングを説明したメニュー表や各党の公約をまとめた公約ボードを用意して、政治や選挙の対話を補完する工夫をしています。

コーヒーの選択体験を通じて政治的対話を誘発する「選挙カフェ」の提案(小林里菜、高津こころ、野々山正章、藤代裕之)
どちらの発表も、JST-RISTEX「ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成プロジェクト(ニューストラスト)」による研究成果の一部です。
















