ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

ソフトバンク産学連携プロジェクト「シナジーミーティング」にゼミ生が登壇

ソフトバンクの産学連携プロジェクトの活動成果を共有する「シナジーミーティング」に発表校として参加してきました。

発表タイトルは「ソフトバンクと連携したフェイク対策ワークショップの設計と実施」で、ソフトバンクCSR本部と連携して高校で実施したワークショップの設計と実施について報告しました。この取り組みは第53回情報通信学会大会で「情報源の重要性を体験するワークショップの提案」として学会発表もしています。

以前からゼミではワークショップ開発に取り組んでいたのですが、高校につながりが乏しいためソフトバンクCSR本部に紹介頂き、埼玉県立飯能高校と東京都立小川高校でワークショップを実施しました。丁寧に高校現場とつないで頂いたソフトバンクとの連携部分について私が話をして、後はゼミ生から説明しました。

ワークショップはフェイクニュースの要因である「こたつ」記事をテーマに情報源を確かめることの大切さを楽しく理解できることを目標に設計しました。大学生に聞くとリテラシーの授業やワークショップは受講しているものの、退屈だったり、べき論が多かったりして、内容を覚えてないことが多かったことから、ワークシートなどを工夫して楽しく学べるようにしています。

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ソフトバンクの産学連携に参加する大学や高専は80を超えているということで、「シナジーミーティング」の発表校となれて光栄でした。秋田から沖縄まで大学や高専が集まり報告がありましたが、どれも興味深かったです。

ソフトバンク社員の皆さんのホスピタリティが素晴らしく、許可を得た社員の方に巨大ディスプレイへの大学名とともにゼミ生を撮影して頂き、良い記念になりました。

引き続きソフトバンクと連携しながらワークショップなどを開発していく予定です。

第53回情報通信学会大会で「こたつ」記事に関するワークショップなどをゼミ生が発表しました

2025年度秋季(第53回)情報通信学会大会が11月30日に行われ、ゼミ生がオンラインで下記2本の研究発表を行いました。

  • 情報源の重要性を体験するワークショップの提案
  • 地域住民にとってローカルメディアは「善き隣人」なのか―島根県浜田市飯南町におけるインタビュー調査から―

ワークショップの提案は「こたつ」記事をテーマに情報源を確かめることの大切さを楽しく理解できる内容で、ソフトバンクと連携して高校での実践を報告。 ローカルメディアは島根県立大学田中輝美ゼミと現地調査を行い、「良き隣人」について聞いたものです。

4年生全員で発表練習をして当日に備えました。発表でコメントいただいた皆さんありがとうございました。

どちらの発表も、JST-RISTEX「ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成プロジェクト(ニューストラスト)」による研究成果の一部です。

法政大学多摩オープンキャンパス2025でゼミ活動を紹介

法政大学多摩キャンパスの2025年度のオープンキャンパスで、藤代ゼミの活動を紹介しました。春学期に制作しているゼミ紹介冊子や「選挙カフェ」などを展示しました。初めての試みでしたが、たくさんの高校生や保護者の方に来て頂き、活動や研究内容についてお話することができました。

毎年評判の良いオープンキャンパスの学生スタッフが、積極的に紹介してくれたこともあり予想以上に賑わいました。

ポスターで参加のゼミもありました。

「ゼミ」は高校生にわかりにくいかもと、開催中にゼミ生が写真を印刷して壁にはりつけていました。雰囲気が伝わります。

参院選に向け、コミュニティノートの活用に向けたイベントを実施しました

法政大学社会学部藤代裕之研究室と一般社団法人コード・フォー・ジャパンは「コミュニティノート × 選挙 ― 参議院選挙での活用方法をみんなで考える」を実施しました。

2024年兵庫県知事選挙に関するX(旧Twitter)の投稿データやコミュニティノートデータを、ビジュアライゼーションツール「Tableau」を使い可視化することで、何が起きていたのか、どのような課題があるのかを分析し、今後の活用につなげるものです。

記者、データサイエンティスト、エンジニアといった異なるスキルを持つ参加者同士がチームを組み、グループで取り組みました。メディア関係者は東北や九州など全国から参加があり、SNSの偽誤情報対策としても注目されるコミュニティノートへの関心の高さが伺えました。

まず、コミュニティノートの仕組みの解説、兵庫県知事選挙におけるコミュニティノーの分析結果を共有しました。

兵庫県知事選挙に関連する投稿では、ノートが付与された116投稿のうち、公開されたのは5投稿にとどまり、表示時間も10時間と短いため機能不全でした。同時期のノート公開率は15%ですが、選挙関連は3%と非常に低い状況でした。

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次に、データ可視化に取り組むチームVIZZIESにより、ビジュアライゼーションツール「Tableau」のハンズオンが行われました。

多様なスキルの参加者があるので、「ノートを書いてみる」といったプログラムも用意していたのですが、私も含め全員が「Tableau」に挑戦しました。

その後、VIZZIESやコード・フォー・ジャパンの皆さんのサポートを受けながらチームで議論。ノートが付与された投稿の違い(テキスト、動画、静止画)により拡散力に差があるのか、投稿に対してどのタイミングでノートが作成されているのか、などの分析が発表があり、質問や議論が盛り上がりました。

例えば、ノートは誤解を招く可能性がある投稿に対して早い段階で作成されており「ノート協力者は熱心なのに、公開されているノートが少ないのは残念」といった公開率の低さについてのコメントや、ノートが複数作成されて盛り上がっている投稿の拡散力が大きいとは限らないことから「ノートの盛り上がりで、重要度を判断してはいけないのではないか」といった議論が行われました。

参加者の皆さんには、X投稿やノートのデータを見て、チームで議論してもらったことで、解像度が上がり「コミュニティーノートの役割を理解できた」という感想がありました。

問題意識を持つ記者らに、データやアルゴリズムについてコード・フォー・ジャパンが、何を目的に可視化したいのかをVIZZIESがアドバイスする、といった具合にそれぞれの役割が掛け合わされることで面白い分析につながったことから、社会課題に関心を持つ異なる業界や団体がクロスする場をつくることが重要だと改めて実感しました。

この取り組みは、JST-RISTEX「ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成プロジェクト(ニューストラスト)」による研究成果の一部です。

「こたつ」記事を題材に、ニュースの情報源を確認するワークショップを高校で実施しました

法政大学社会学部藤代裕之研究室では、フェイクニュース研究の一環としてゼミ生が高校生向けのワークショップを開発しています。2024年度からソフトバンクの「産学連携プロジェクト」に参加し、新たに開発した「こたつ」記事を題材にしたワークショップを埼玉県立飯能高校で実施してきました。

取材や確認が不十分な「こたつ」記事はフェイクニュースの要因でもあり、ニュースの信頼性を低下させています。ニュースも玉石混交となっているわけですが、ニュースの出どころを気にする人は45.9%で、気にしないと答えた人のほうが54.1%と多くなっています(メディアに関する全国世論調査新聞通信調査会)。

ワークショップは、「こたつ」記事を題材にして情報源を確認する大切さを学ぶもので、高校の探究学習などでネット情報を調べるときにも役立つように工夫しています。

枠組みはゼミの4年生が検討し、その4年生と3年生が司会・進行を努めました。

ワークショップには、ソフトバンクの担当者も同行いただき、高校の先生も複数参加してサポートいただきました。

初めて高校で行うテスト的な実施でしたが、授業後のアンケートには「楽しかった」「面白かった」「これからの時代に必要」といった回答があり、手応えを感じました。

飯能高校は、DX加速化推進事業(DX ハイスクール)の指定校とのこと。教室は大型プロジェクタにグループワーク可能なミーティングチェアが用意され、生徒はそれぞれのクロームブックを持つなど、学習環境が整っていることに驚きました。

この取り組みは、JST-RISTEX「ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成プロジェクト(ニューストラスト)」による研究成果の一部です。

  • 2023年度は「フェークニュースを身近に感じるワークショップ」がNHK財団の「インフォメーション・ヘルスAWARD 2024」を受賞しています

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「International Conference on Social Media & Society 2024」で発表しました

ソーシャルメディアの国際会議「International Conference on Social Media & Society(SM&S)」の2024 Conferenceに参加し、"Media covers garbage news from the social media in times of disaster -Polluting the news ecosystem in Japan-" (Hiroyuki Fujishiro , Mone Saito)というタイトルでポスター発表しました。

研究内容は、2024年1月に起きた能登半島地震の歳にニュースサイトがソーシャルメディアからどのような話題をニュースとして取り上げ、ポータルサイトに配信しているのかを調べたものです。

調査の結果、大半の記事が災害そのものとは無関係な内容を多く取り上げており(例:コスプレイヤーが新年の挨拶で能登地震を気遣う)、芸能人やスポーツ選手の話題が災害そのもののニュースを探すことを難しくしていました。また、「ネットでは」「SNSでは」といったように情報源が明確ではない記述になっており、『フェイクニュースの生態系』で示したようにミドルメディアが不確実性の高い記事を拡散していました。

発表したポスターは、researchmapの下記URLからダウンロードできます。

- Media covers garbage news from the social media in times of disaster -Polluting the news ecosystem in Japan- researchmap

ポスターセッションは、会場のLondon College of Communicationのギャラリー部分で、レセプションと合わせて行われました。アクセプトされた51枚のポスターが壁に掲示され、交流しながら議論するスタイルでした。

国や地域におけるメディア環境の違いについての話題、「Yahoo!ニュースとミドルメディアの違いはどこにあるのか(ミドルメディアはソーシャルメディアの話題を、Yahoo!ニュースは記事をまとめているので、同じキュレーションサイトではないか)」「海外にもミドルメディアはあるのか」という質問、「ミドルメディアによる話題選択がニュースの信頼を失うという部分をもっと押し出したらいいのでは」といったアドバイスもあり、大変ありがたかったです。

London College of Communicationは、学生の作品を展示するスペースが各所に設けられており、教室も工作、シアターなどの形式があり、参考になりました。

この研究は、JST-RISTEX「ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成プロジェクト( JPMJRS23L2)」による研究成果の一部です。

ゼミ生が「インフォメーション・ヘルスAWARD 2024」で準グランプリを受賞しました

NHK財団が実施した「インフォメーション・ヘルスAWARD 2024」で藤代ゼミの内田響さん(応募時4年、2023年度卒業)が提案した「フェイクニュースを身近に感じるワークショップ」が準グランプリを受賞しました。 偽・誤情報やフェイクニュースの拡散という問題に対し、利用者一人ひとりの健康が満たされる「情報的健康」を実現するためのアイデアを募るもので、65作品の応募の中から、グランプリ1件、準グランプリ2件が選ばれました。

内田さんのアイデアは、自身の高校時代のリテラシー教育経験から、高校生を対象にもっと身近にフェイクニュースを考えるためにどうしたらいいかを考え、ニュースメディアとしてページビューを稼ぐタイトルづくりを体験することで、フェイクニュースが拡散する構造を学ぶものです。審査員から受信者(騙される側)ではなく、発信者(騙す側)からのアプローチを評価されました。

ステラnetに表彰式の様子が紹介されています。

内田さんはワークショップを対象に研究を行い、社会学部の優秀卒業論文にも選ばれています。

ステラnetでは内田さんのインタビューも掲載頂いてます。

steranet.jp