老舗ニュースサイト「CNET」 リニューアルの混乱と失望
朝日新聞社ジャーナリスト学校が発行している「Journalism(ジャーナリズム)」2010年7月号に『老舗ニュースサイト「CNET」 リニューアルの混乱と失望』を寄稿しました。
「ITmedia」や「Impress Watch」と並ぶ代表的IT系ニュースサイトであるCNETJapanは、昨年9月に朝日新聞が買収しました。ネット対応に苦しむ既存のマスメディアにとってニュースサイト買収というのは思い切ったなと思っていましたし、ネットサービス運営者側にとっても既存マスメディアへの売却という「出口」が出来たことは新たな状況と考えました。
買収時には、当時連載していた日経IT-PLUSのネット社会学で「朝日新聞のCNET Japan買収は成功するか」を書き、ネット担当の新聞社員のリテラシーや関心度によってサイトの方向性やコンテンツが大きく左右され、揺れ動いてきた過去の課題についても触れて、『紙の「常識」は通用しない。ネットを知らない新聞社員が「本気」になればなるほど、ネットの現場からすれば「迷惑」になりかねないジレンマがある』と予想したのですが…
取材が出来なかったのでCNETの内部がどうなったかは分かりませんが、新生CNETとしてリニューアルをアピールするはずが、読者ブログ閉鎖の騒動が注目され、その説明も十分ないという対応もネットメディア的ではなく、永井美智子記者の退社、西田隆一元編集長が「TechCrunch Japan」へと記者や編集者の顔が見えなくなるのも含めて新聞的になってしまいました。
なお、記事にも取り上げましたが、読者ブロガーだった朝之丞さんが中心となり、シックスアパートの支援を受けた「ブロガーズ・ネットワーク翼」も26名の賛同者を得て立ち上がっています。
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