ガ島通信

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ベンチャー企業における広報リスク、ミクシィ「利用規約改定」騒動と株下落

ミクシィ(mixi)の利用規約改定が騒動となり、ミクシィ側が意図を説明する事態となっています。

ITmediaの記事でもリンクされていますが、著作権の問題はライブドアgooブログでも過去にトラブルになったことがあり、サービス提供社としてはこのような事態が起きることは想定すべきでした。また、ミクシィはPC版トップページのデザイン変更でもユーザーから批判されており、ユーザー軽視ともいえる運営が続いています。
今回の騒動は説明をしっかりしていればある程度理解が得られたと思われますが、以前からミクシィなどのネット企業の広報対応については、下記の記事も含めいろいろなところで問題があると言い続けてきましたので、騒動は起こるべきして起きたという印象です。

携帯フィルタリング「強制反対派」に支持が集まらない理由(日経IT-PLUS)

ミクシィを舞台に女性のプライバシー侵害が起きた際に企業側の対応が不十分だったことが、広報専門誌「PRIR」(発行・宣伝会議)の2007年2月号に「SNS業界の雄、ミクシィに求められる説明責任」との記事で紹介されている。
広報担当者のコメントとして「土曜に来社し、社長との面会を希望した記者に不在と伝えると『取材拒否をした』と書き立てられた」という事例や、広報担当者の人数が少ないことを理由に回答の遅れを正当化するようなコメントが掲載されているが、このようなスタンスは上場企業として社会的責任に欠けるのではないか。
ネット企業はベンチャーが多いこともあり、上場しても社会への配慮が手薄になりがちだ。特に広報は華やかなイメージで捉えられるが、企業が大きくなればクライシスマネジメントやリスクマネジメントといった泥臭い側面も重要になってくる。

(ちなみに女性のプライバシー侵害騒動の時は、私も記事をいくつか書きましたが、ある媒体にはミクシィ広報から「そのようなことはなかった(正確には確認することは出来ないはずだといった内容だったようだ)」かのような厳しい口調の抗議があったと聞いている)
今回も騒動になってすぐに対応したのは評価できますが、ミクシィの説明文を読んでも、どうも「私たちは悪くない」といった印象がぬぐえません。ミクシィニュースにも「説明になっていない」「言い訳だ」といったコメントが散見されます。仮にも上場企業の広報としては対応があまりにも稚拙ではないでしょうか。

ちなみに、この間ミクシィの株は下がり続けています。テクノバーンの記事「ミクシィが大幅続落、三菱UFJが投資判断を2段階引き下げ」によると広告収入の減速で、三菱UFJ証券が投資判断を引き下げたことが「売り」につながったと分析していますが、規約改定騒動が関係なかったとは言い切れないでしょう。

ミクシィのプレスリリースを見ると、2月1日に広報・IR部長と法務部長などを兼務する役職に人事異動が行われていますが、残念ながら力不足と指摘されても仕方がないでしょう。
ベンチャー企業に、大手企業の広報室・総務部などが抱えているような「汚れ役ができる」優秀な人材が集まらないのは理解できますが、株価の下落、ユーザーへの説明不足を招くようでは、広報が企業そのもののリスク要因になりかねません。