ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「敵」を見誤った毎日新聞

毎日新聞問題について海部美知さんが、旧メディア対ネットという構図ではなく女性が怒っているから長引いているのではないかという指摘をブログでされています。

海部さんも、実際に抗議している人たちが主婦かどうかは分からないとしながらも、

念のためここで情報を開示しておくと、私自身も、息子をもつ日本人の母親である。この問題に対して、怒っている男性は、おもに「日本の恥を英語で撒き散らした」ことがポイントだと思うが、女性の場合、これに「記事の中身そのもに対し、吐き気がするほどの生理的嫌悪感と、自分たちを直接侮辱されたような怒り」を覚えるという点が上乗せされるだろう。それは、私も同じである。

と書かれ、セクハラ問題であるとの認識を示しています。この指摘は腑に落ちるものでした。この騒動は消費者問題であるにもかかわらず、毎日は「敵」(問題の本質)を見誤っていたのでしょう。
2ちゃんねるで連日スレッドが更新されていた7月上旬に、毎日新聞の写真証を示して2ちゃんねらーを挑発する下記のような書き込みが行われていました。


お前らに一つ教えといてやる 俺は毎日新聞社の社員だ

で、俺の周りでお前らがやってる事を知ってる社員は一人もいない
気付いてすらないんだよwwwwwwwww

少し気の毒だがお前らがどんなに喚こうが社会に与えられる影響力なんて所詮こんなもん

分かったら糞して寝ろ

この書き込みが本当に毎日の社員によるものかどうかは分かりませんが(もし社員ではない人が社員証の社員をアップしているなら、それも問題ですが…)、もし社員のものなら、海部さんが『毎日の「君臨派」の頭の中では、広告スポンサー企業に電凸している人々は、「ニートのキモヲタ男」のイメージじゃないかという気がするのだ』と指摘している通りの状況把握だったのでしょう。

「2ちゃんねらーVS毎日という構図」を過剰に意識しすぎて、自分たちがなぜ批判されているのかに目が向かなかったのが致命的でした。新聞社として、というより企業として問題があったにもかかわらず、2ちゃんねらー(もしくは、別の新聞社が黒幕にいると考えた人すらいたという)に「攻撃」されていると捉えてしまった。
毎日新聞問題は、インターネットというツール(ブログ、掲示板、wikiなど)を利用して一般の人々がマスメディアを批判できるようになった点は新しいですが、基本的な枠組みは広報・クライシスマネジメントの問題ですが(参考・毎日新聞「Wai Wai」問題と私刑化する社会とネット時代の企業広報の視点)、毎日がそう考えることができなかった一端がここにも現れているように思えます。

話題になっている佐々木さんのCNETの記事を見ても

ネット君臨派(情報統制派)と反統制派(親ネット派)が争っているという社内の政治状況は理解できても、読者や消費者に対して真摯に向き合っていこうという姿勢はあまり伝わってきません。情報を漏らした犯人捜しをしている場合ではないと思いますが…
そもそも、敵がいると思ってしまった時点で終わっていたのかもしれません。

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