ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

ジャーナリスト・魚住昭の自爆。「NHKVS朝日新聞」その後…

既に忘れられそうになっている、NHKVS朝日新聞問題について少し書いておきたいと思います。魚住昭氏が月間現代にメモを書いた件。立花隆氏も「NHK番組改編の取材メモ流出で問われる報道の使命と政治介入」で魚住氏の取材を援護射撃していましたが… 結局朝日新聞が自民党に謝るという事態をもたらすことに。

魚住氏は、ジャーナリスト魂を発揮したということなのでしょうが、結局NHKどころか朝日まで自民に(さらに?)弱みを握られてしまうことに。これでは、朝日への自爆攻撃にしかなりません。
海老沢会長を失脚させ、NHKと自民党の「不透明な関係」を国民に知らしめただけで、十分でったのに… 欲張ったか、朝日のH記者が社内で厳しい立場になるのを救いたかったのか(結局、このH記者が最初から、しっかりと取材していればよかったのだ!) まあ、よくわかりませんが、「良かれ」と思って書くことが、良い結果を生むとは限らない。

言葉が足りないかもしれませんが、ちょっとバタバタしているのでこのへんで。

消えるかもしれないので、各社の記事を記録しておきます。

  • ◆朝日新聞:社内資料流出認め謝罪 「月刊現代」記事で(毎日新聞 8月25日)

 NHK特集番組が政治家の圧力で改変されたと報じた朝日新聞の詳細な取材内容が「月刊現代」に掲載された問題で、朝日新聞は25日、「社内資料が社外に流出したと考えざるを得ない」として、取材先の松尾武NHK元放送総局長、中川昭一経済産業相、安倍晋三自民党幹事長代理の3人に謝罪の文書を郵送したことを明らかにした。これに対し、3人側はいずれも文書の受け取りを拒否した。朝日は、流出に関与した人物は特定できていないとして社内調査を継続し、9月中にも社幹部を処分するという。
 朝日が郵送した文書は24日付で、「流出によってご迷惑をおかけした」との内容。この問題を調査している自民党プロジェクトチームにも郵送したが、同様に拒否された。月刊現代の記事はジャーナリストの魚住昭氏の執筆で、朝日記者と3人との取材のやり取りを一問一答形式で掲載した。
 朝日は調査の結果「月刊現代の証言記録は、いずれも朝日記者がインタビューした内容を整理した社内資料がもとになっている」と断定した。取材資料にかかわった社員ら40人以上から聞き取り調査をしたが、関与を認めた者はいなかった。朝日は「信義に反し、痛切に責任を感じている」とのコメントを発表した。
 松尾氏は「取材記録をすべて明らかにするよう求めてきたが、今も聞き入れられていない。朝日内部から他のメディアに漏えいされたことを聞き、強い憤りを感じる」とのコメントを出した。自民党は、役員が記者会見以外の朝日の取材を受けることを自粛中だが、プロジェクトチームは25日、朝日に「不祥事をうやむやにする処理であり、追加措置を検討する」との通知書を出した。
 NHK広報局は「漏えいした取材記録だけみても『政治的圧力を受けてNHKが番組を改変した』とする朝日の記事を裏付けるような証言は見あたらない。改めて取材記録のすべてを明らかにするよう強く求める」としている。

  • ◆ NHK巡る本社資料「流出」と結論 3氏におわび (朝日新聞 8月26日)

 朝日新聞が取材をした資料を入手したとする記事が月刊「現代」9月号(講談社)に掲載された問題で、本社は25日、インタビュー内容を整理した社内資料が何らかの形で社外に流出したと考えざるを得ないと結論づけ、取材した関係者3氏に流出について報告、おわびをする文書を郵送した。
 記事は、NHKの番組改変問題をめぐってジャーナリストの魚住昭氏が執筆した。元NHK放送総局長の松尾武氏、前衆院議員の中川昭一安倍晋三両氏が本社記者の取材に語った「証言記録」として、やりとりが記載されていた。
 本社は、社内資料が流出した疑いがあるとして、同誌の発売時から調査していた。流出経路はまだわかっていないが、調査を続け、近く社内処分を行う。3氏には調査結果を報告、おわびするため、面談を申し入れたが、中川、安倍両氏側から「選挙間近で時間的余裕がない」などの回答があったため、文書を郵送した。両氏は文書の受け取りを拒否した。
 NHKの番組改変をめぐる朝日新聞の報道内容そのものについては、外部の識者による委員会に意見を求めており、審議が進められている。
 〈荒木高伸・朝日新聞社広報担当の話〉 取材資料は社内で厳重に管理されなければならず、今回の流出には痛切に責任を感じています。関係者の方々には深くおわびします。引き続き流出経路などを調査します。改めて社内資料の厳格な保管態勢の確立をめざします。

  • ◆NHK番組改変取材資料、流出認め謝罪文…朝日新聞 (読売新聞 8月26日)

 NHK番組改変報道を巡り、取材資料が社外に流出していたとされる問題で、朝日新聞は25日、流出の事実と、これがもとになって月刊誌に記事が掲載されていたことを公式に認めた。
 同社は、取材を受けた当事者の松尾武・NHK元放送総局長、安倍晋三・自民党幹事長代理、中川昭一・経済産業相にそれぞれ謝罪文を郵送した。9月中に関係者の処分を発表するという。
 同社によると、社内調査の結果、月刊「現代」9月号に掲載された3氏の「証言記録」は、「(朝日新聞)記者がインタビューした内容を整理した社内資料がもとになっており、何らかの形で社外に流出したと考えざるを得ない」との結論に達した。
 同社は、これまで、取材にあたった東京本社社会部の記者らを中心に40人以上から聞き取り調査を行った。しかし、全員が資料の外部への持ち出しを否定しており、関与した人物は特定できていないという。今後も調査を進め、資料を持ち出した人物を特定できなくても、9月中に管理責任を問う関係者の処分を発表するという。
 しかし、同社は、流出した資料が文書なのか録音したものなのかなどについては、「取材の手法や中身については答えられない」(広報部)とし、これまで同様、明らかにしなかった。NHKによると、朝日記者の松尾氏へのインタビューは長時間にわたり、記者は途中からメモを取らなかったという。
 朝日新聞の謝罪に対して、自民党の「朝日新聞の問題報道に関する調査プロジェクトチーム」(座長・佐田玄一郎副幹事長)は25日、「多忙な時期に乗じて、不祥事をうやむやにするのではないか」として、安倍、中川両氏と同チームに届いた書類の受け取りを拒否したことを明らかにした。同チームは「真相究明を強く求めてきたにもかかわらず説明責任が果たされていない。そのような中で情報が漏えいし、不透明なものを感じる」とコメントした。
 また、NHKは25日、「記者がうそをついて取材した疑いがあることもわかりました。取材記録のすべてを明らかにするよう強く求めます」とし、松尾氏も「取材で答えた内容と記事の趣旨が大きく違っていたため、朝日新聞に対しては、今年1月以来、一貫して取材記録をすべて明らかにするよう求めてきましたが、要望は今も聞き入れられていません。強い憤りを感じています」とのコメントを発表した。