ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

朝日新聞が記者ツイッターの一覧を紹介 「個人」による競争の幕開け

朝日新聞が1月23日に「アサヒ・コム」の看板を下ろし、朝日新聞の電子版である「朝日新聞デジタル」に統一しました。画面デザインやロゴの変更などが行われましたが、ツイッター利用の記者一覧が「つぶやく記者」として公開されました。
朝日新聞は新聞社の中で最もツイッター利用に熱心です。一覧表には多数のアカウントが紹介されていますが、これまでは部署や企画ごとに運用されてきました。ニュースサイトからの記事を流す @asahi は52万、報道・編成局長室が運営する中の人が見え隠れする @asahi_tokyo(コブク郎)も5万とフォロワーを多いのですが、個人としてこの一覧に掲載されていたのは元WEBRONZA編集長で現在AERA編集長の一色清 @isshikikiyoshi さんのみ。神田大介記者や平和博編集委員のように個人的にツイッターに取り組む記者もいましたが、一覧に掲載はされていませんでした。
23日に掲載されたのは14人、すべて実名です。29日に確認すると15人に増えていたので、今後も追加されていくことが予想されます。
29日現在のツイッターid、担当とツイート数、フォロー、フォロワー数を一覧にまとめてみました。敬称略です。

海外特派員が6人(ローマ、ロンドン、ロサンゼルス、バンコク、ニューヨーク、北京にそれぞれ駐在)、編集委員が3人(スポーツ、IT、文化財/古社寺)、デジタル編集部の記者が2人、東京社会部、報道局(遊軍)、スポーツ部の記者、ジャーナリスト学校研究員、となっています。記者経験が長いベテランが多く、年齢的にはやや高めといったところ。プロフィールにはそれぞれの記者の経歴や興味に加え「発言は個人の見解で、朝日新聞社の見解ではありません」といった断り書きも添えられています。
以前からツイッターでは知られていた丹治記者が1万を超えている以外は、1000フォロワーに満たないアカウント(12人)がほとんど。ツイート数も二桁ですが、まだ始まったばかりなので、これからなのでしょう。
フォロワー数が全てとは思いませんが、ひとつの指標になるでしょう。
これまで新聞社の記者は何らかの指標で比較されることがありませんでしたが(賞を取るというのありましたが、ごくまれですし、スクープが多いやよく取材しているというのも印象的なところが多かった)、他の記者との違いが可視化されることになります。フォロワーやツイートに対する反応は読者(外側)からの評価で、それを適切に取り入れることで、内側の論理だけの記事や評価も減って行くでしょう。
以前よりジャーナリストは「個」であると色々なところで話をしてきましたが、組織ではなく記者が前に出るのは、プロフェッショナルとしてはあるべき姿だと思います。記者が個人としてソーシャルメディアを利用することによって記者の興味や関心、取材活動や書いた記事が分かり、読者や取材先とのコミュニケーションだけでなく、ジャーナリストを目指す人にとっても記者活動が分かり、目標となる人も見つかり易くなります。
せっかく、公式なカタチで個を押し出したのですから、社内にいる2000人を超える記者にソーシャルメディアの利用してもらい、トップページに紹介するアカウントを選抜する総選挙や握手会などを行えば、より競争も促進されるでしょう、というのは半分冗談で半分本気です。より質の高い記事をアウトプットするためにはジャーナリスト同士による切磋琢磨が欠かせません。それぞれの記者が、いい取材をして、いい記事を書いて、ファンを増やしていってほしいものです。
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