地域の社会課題をメディアから考える集中講義「ローカルジャーナリズム論」を開催します
法政大学社会学部で9月17日~19日の3日間、集中講義「ローカルジャーナリズム論」を開講します。ローカルジャーナリストの田中輝美さん、ノンフィクションライターの石戸諭さん、シティプロモーションの提唱者である杉山幹夫さんという著名なゲスト講師と、ローカルメディアである沖縄タイムス社、西日本新聞社、中国新聞社、高知新聞社、博報堂ケトル、北海道テレビ放送(HTB)の担当者と共に、メディアによる地域課題解決の可能性について学びます。
集中講義の開催のきっかけは、あるローカルメディア担当者の「良い人材が集まらない」という悩みでした。人気職業と言われたメディア業界ですが、時代状況や働き方改革の遅れもあり、メディア社会学科の学生でも避ける傾向があります。テレビ局もローカルは人が集まらず採用のCMをやるほどです。もちろん、働き方は変えてもらわないといけないのですが(それは大前提)、ローカルメディアの魅力を学生が知らないという側面もあります。
その最大の要因が東京の私立大学が「首都圏の地元大学化」していることです。法政大学の地方出身学生は3割しかいません。魅力的なローカルメディアがあっても、取り組みに触れることが難しい状況にあります。就活のプラットフォームであるリクナビ・マイナビでは、たくさんの企業の中に埋もれています。「まず学生に知ってもらう必要がある」という地域の企業が直面する現実は、メディア企業も同様です(が、その現実を認めたくない人たちもいて困るのですが…)。
そこで、状況を的確に把握し、問題意識を持ち、さらに面白く、魅力的な取り組みをしているローカルメディアの皆さんに協力を頂き、各社がお金を出して運営する寄付講座として実施することになりました。はじめての試みだったのですが、初年度から枠いっぱいの6社に協力頂き、本当にありがとうございます。3日間のテーマは以下の通りで、 講義とワークショップを組み合わせています。
【1日目】9月17日(火)第1回~第5回 課題と向き合う
【2日目】9月18日(水)第6回~第9回 地域とつながる
ガイダンス/ローカルメディアの課題と可能性/少子・高齢化と向き合う/フェイクニュースと向き合う/災害と向き合う/ワークショップ
SNSでつながる/まちづくりでつながる/知識でつながる/ワークショップ
【3日目】9月19日(木)第10回~第14回 地域を伝える
ローカルジャーナリズムの新たなデザイン/ローカルジャーナリズムの課題/ ローカルジャーナリズムの可能性/ローカルジャーナリズムの未来について考える/まとめ
3人の著名なゲストに加え、以下のような地域への課題意識と愛が溢れるローカルメディアの取り組みを講義します。
- 沖縄タイムス:沖縄戦デジタルアーカイブなどのデジタル展開やフェイクニュース検証報道
- 西日本新聞:ソーシャルメディアで読者とつながる新たな調査報道「あなたの特命取材班」の企画
- 中国新聞:被爆地から世界に問い続ける原爆・平和報道と「ヒロシマ平和メディアセンター」の発信
- 高知新聞:南海地震に備えるための地域防災プロジェクト「いのぐ」(古い土佐弁でしのぐ、生き延びるの意味)の実施
- 博報堂ケトル:地元に愛されてきた絶やすには惜しい飲食店を紹介する「絶メシリスト」などのコンテンツ展開
- 北海道テレビ(HTB):水曜どうでしょうなどに見られるイベントや海外発信などの取り組み
この集中講義を聞いた学生が、一人でも多くローカルメディアに興味を持ってくれることを願っています!