ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

書籍に論文、国際会議での発表とゼミ生が大活躍の2015年でした

法政大学に移って3年目となった2015年は、ゼミ生の活躍で充実した年となりました。

ローカルジャーナリストの田中輝美さんと1月から一緒に取り組んでいた風の人プロジェクトは8月に「地域ではたらく「風の人」という新しい選択」(ハーベスト出版)として、情報ネットワーク法学会の研究会で2013年から続けてきた議論をベースに10月には「 ソーシャルメディア論: つながりを再設計する」(青弓社)を出版することが出来ました。

どちらも紆余曲折があったものの、沢山の方の支えと編集者との出会いがあり、出版までたどり着きました。風の人では、ふるさと島根定住財団との「地元に帰る帰らない会議」、珍獣ナイトに仕事バー、田中優子さんを迎えてのトークイベントなども実施しました。

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NTTコミュニケーション科学基礎研究所との共同研究は、7回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2015)でゼミ生が筆頭で発表した「SNS上での拡散を誘発するwebニュース説明文の調査と自動選択」が優秀インタラクティブ賞 、学生プレゼンテーション賞のW受賞。さらに、オーストラリアで開かれた国際会議CIKM '15(Conference on Information and Knowledge Management)にポスターで参加しました。

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昨年共同研究を行ったTBSメディア総合研究所の成果についても日経広告研究所報Vol.283に学生論文「大学生のテレビ視聴のきっかけ ―ソーシャルメディア利用との関係を中心に」として発表しました。

また、初めてのゼミ卒業生が執筆した「ソーシャルメディアとテレビ番組の連携の効果に関する研究」が2014年度の優秀卒業論文に選ばれました。

教員としては、法政大学教育開発支援機構が行った「学生が選ぶベストティーチャー賞」に選ばれました。投票してくれた学生の皆さんどうもありがとうございました。授業では「ウェブジャーナリズム実習」でYahoo!ニュースの協力を得て新しいアプリを考えてみました(参考:「お金がない」「電車で座りたい」――大学生がアプリで解決したい課題とは?【法政大学×Yahoo!ニュース】 - Yahoo!ニュース スタッフブログ)。

Facebookを見返すと2014年末にこんなことを書いていました。 

2015年はゼミ生からの調査報告のまとめや論文、原稿を待っている間にやってきた。「2014年内提出」という締め切りはいつものように守れず、最後の最後までやり切れない悔しい年越しだった。 何度「もういいかな。こいつらには出来ないんだ」と思ったことか。「正直どうしたらいいか分からない」とも伝えたこともある。「ゼミ生に求めるレベルが厳しすぎるのではないか」とも言われた。3年生は半分以下になった。 ウソをついて「出来る」と褒めても仕方ないし、こんなもんだと諦めるなら教員を続ける意味が無い。ゼミ生が必ず出来るようになると信じてやり続けるしかない。目線を上げるために、もっと劇的に環境を変えていく必要もあるかもしれない。2015年はやれることは全てやりたい。明けない夜はないのだから。

ゼミのチームワークを高めようとサイボウズにワークショップをお願いしたりもしました(参考:コスパより「理想」を追え!──藤代ゼミで行った大学生向けチーム議論のメソッド | ベストチーム・オブ・ザ・イヤー)。

結果的に、書籍に賞、国際会議、論文と藤代ゼミ生の活躍は目覚ましいものがあり、 法政大学生の潜在能力の高さを証明できたと思います。就活では4年生が最後まで粘ってそれぞれに納得がいく結果を出してくれたことも教員としては大変に嬉しいことでした。ゼミ生は、泣いたり、笑ったりしながら、自分と向き合い、何事も面白がれるようになり、成果が出るようになりました。

千葉県野田市のシティプロモーション、「ACROSS」編集部とのプロジェクト(PDF:パルコのファッション&カルチャーのシンクタンク「ACROSS」編集部との産学協同プロジェクトを始動。東京、ソウル、京都で定点観測を実施。)、などの取り組みを進めているところです。2016年も藤代ゼミはますます面白くなるはずです。

仲間と取り組んでいる日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)の「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」は1年目にも関わらず好評を頂き、出展者同士の連携で新たな取り組みが生まれるなど、ジャーナリズムの発展に小さいながら寄与できたと思います。

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アワードをきっかけに、藤村厚夫さん、長澤秀行さん、瀬尾傑さんと共に発起人となり、メディア・ジャーナリズムを引っ張ってきたベテランと、未来を担う若手が運営となったイベント「ONA共催デジタルジャーナリズムフォーラム2016」の開催も決まりました。「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2016」も連携して開催します。

地域の発信者を増やすというライフワークも足利市NPO法人「コムラボ」の皆さんと足利市の事業として地域ライターを育てる取り組みを始めました(参考:足利でクラウドソーシング活用講座はじまります! | NPO法人コムラボ)。

そういえば、2015年は徳島新聞を辞めてから10年という区切りでした。キャリアについて珍しくインタビューを受けました。朽木さんが書いてくれた記事はとても多くの方に読んで頂いたようです。

www.pasonacareer.jp

10年早いと言われながら、ソーシャルメディア論や風の人、アワード、ライター講座、ゼミ…誰もが発信者になれる時代のジャーナリズム活動底上げにつながる活動はようやくカタチになり始めました。どの活動も、共同研究先、共同プロジェクト先の皆さんのアドバイスや指導に大いに助けられました。ジャーナリズムの未来をつくる仲間に恵まれたことに感謝しつつ、2016年もどうぞよろしくお願いいたします。