藤代ゼミ課題図書「変化するメディアを知る7冊」
藤代ゼミの2年生向けの課題図書です。書籍の選択理由は、読みやすくインターネットやソーシャルメディアの登場によるメディアの変化や構造が理解できる、社会とメディアとの関係や課題が書かれている、実践にあたり参考になる、Amazonの中古で安価に売られている、です。
さとなおの愛称で知られるコミュニケーション・ディレクターの佐藤さんの著書。自身でウェブサイトを運営、電通時代はその名前を冠した「サトナオ・オープン・ラボ」が開設された。冒頭のラブレターの話から、分かりやすくインターネットの登場によって変化するメディアと人々との関係を描く。スラムダンクの事例など、広告、メディアへの愛あふれる本。
Web2.0というバズワードのきっかけになった本。梅田さんは「日本のウェブは残念」という迷言?を残したが、この本で書かれている変化への洞察は色褪せていないし、当時の雰囲気も分かる。楽観主義だけでは社会を変えることはできないという反省の書としても良い。
津田さんは多作でどれを選ぶか悩んだが、リアルタイムで双方向なソーシャルメディアの変化をいち早くつかんでまとめたこの本にした。扱っている分野もジャーナリズム、政治、ビジネスと幅広い。最近あまり語らないtsudaるに関しての項目では、情報をまとめて伝える技術が紹介されている。
7冊の中では最も新しい。ソーシャルメディアやスマートフォンの登場で、現実空間の中にウェブが入り込むことで「現実の多孔化」していると指摘する。社会学、メディア論として学ぶところが多い。教科書として各大学で使われるのは間違いない。
ビジネス系サイトNo1に躍り出た東洋経済オンラインの若き編集長佐々木さんの本。海外次の事例も多く紹介されている。これまで多かった「マスメディアもうダメだ」本ではなく、サバイバルのためにメディア運営者が何ができるのかという視点で書かれた本は少なく参考になる。次世代ジャーナリストの10の生き方、の分類も面白い。
ライティングの授業でいつも参考書にしている。テーマと論点の違いなど、普段は何気なく書いていることを整理してくれる。「なぜ抗議の声は届かないのか」「正論を押し付けても意味が無い」。相手の立場にたち、根拠を示すことの大事さを説く。お願い文、議事録、など実践編もあり。
著名な文化人類学者で、国立民族学博物館の初代館長、「情報産業」という言葉の名付け親の梅棹さんの短編をまとめている。7冊の中で最も古いが、いまだに色褪せない情報に関する深く、鋭い洞察が並び、読みなおすたびに新しい発見があるまさに名著です。
上記の書籍を毎週1冊読み、小レポートを提出してもらう「秋の読書祭り(注:白いお皿は当たりません)」を実施しています。理由は、広告業界に関心があるのにさとなおさんの『明日の広告』を読んでいないゼミ生がいて衝撃を受けたこと&ゲスト講師に来てもらったヤフーの伊藤さんからニュースや社会事象について関心がやや乏しいことを指摘されたこと、です。
ゼミでは知識と実践を掲げているのですが、やや実践に偏りすぎていたと反省してます。来年度は早い段階でゼミ生には課題図書を読んでもらうつもりです。