朝日新聞は衰退の4段階「一発逆転の追求」か
2010年11月15-16日のツイートを再編集、参考に執筆しています
現代ビジネスの記事「新聞記者たちの不安を聞きに行く【第二回】」
2期連続の赤字に苦しむ朝日新聞も、au携帯電話利用者向けに「EZニュースEX」の配信を始めたが、今夏時点で会員数は約80万人と、目標の10分の1程度にとどまっている。
朝日の中堅記者が言う。「秋山耿太郎社長は新聞作りに興味がなく、ネットの新規事業のことしか頭にありません」
朝日新聞は、携帯電話向け情報サイト「 参考ピープル」、CNETJapanの買収、有料コンテンツ事業の「Astand」(WEBRONZA+、法と経済のジャーナル、WEB新書などがある)、凸版印刷やソニーと組んだ電子書籍配信事業に関する会社に取り組んでいます。社内の人に聞いても、記事に書いてあるトーンはあるようで、ネットに異常に期待している節すらあるようです。
これはジェームズ・C. コリンズの「ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階」の4段階「一発逆転の追求」にあるのではないかと。
五段階は 第1段階:成功から生まれる傲慢、第2段階:規律なき拡大路線、第3段階:リスクと問題の否認、第4段階:一発逆転の追求、第5段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅、となっています。
つい数年前までは新聞業界は第3段階にあり、朝日新聞も実際には多くの問題を抱えながら、何もないかのように振る舞っていましたが、2009年に初の赤字転落する前後から、給与の見直し、さらには異例の好条件が話題となった早期退職の募集も行っていますが、構造そのものが見直されているわけではありません。新規事業へのリソースは逐次投入で、やる気のある人がサポートを得られず「失敗」(ただし、会社は失敗と認めない)とみなされ、現場が疲弊し、モチベーションが低下する、ということが一部で起きているようです。
新聞業界では、ネットに対立したり、毛嫌いしたりする人たちがメディア部門や一部幹部を除いて多かったように思いますが(いまでも編集にはいる)、最近ではネット事業に力を入れているところも多く、ずいぶん変わってきました。
その代わり、今度は紙を否定してネットを救世主のように考える人が出てきて、その変節ぶりに呆れることすらあります。「デジタル化で組織を変える」「ネットで従業員のマインドを変える」、場合によっては「革命」など。このような状態は新聞業界だけでなく、他の企業や組織にも見られる傾向かもしれません(IT企業だと、クラウドを否定していた人がクラウドと言い始めたり、急に電子書籍に乗り出したり…)。
目的を見失ってしまうと方向を修正することも出来なくなり、第5段階屈服と凡庸な企業への転落か消滅に、進むということになってしまうのでしょう。