ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「ジャーナリストキャンプ2010」無事終了しました

組織や媒体、ベテランや若手といった立場を超えてジャーナリスト同士が切磋琢磨する場、スイッチオンプロジェクトによる「ジャーナリストキャンプ2010 -伝えるためのスキルを学ぶ-」が立教大学新座キャンパスで行われました。ゴールデンウィーク中にもかかわらず北海道から沖縄まで全国から、新聞記者、フリーランス、PRパーソン、研究者ら42人の参加があり、深夜まで伝えること、書くこと、にどう取り組むのか議論が続きました。プログラムの準備と進行を担当した私にとっても、多くの学びがある充実した二日間でした。

スイッチオンは昨年度、大学生・大学院生を対象にしてきましたが、取材や見学に来た記者から「学生に混じって自分も参加したい」との声を受けて経験者向けのプログラムを初めて開催しました。
目的は募集時にも書きましたが、従来型の OJT(オンザジョブトレーニング)中心のジャーナリズム教育やべき論や精神論からの脱却。さらに、マスメディア業界に多い集まって愚痴や不満を言うのではなく、前向きで、真剣な「場」を作りたいという想いもありました。
プログラムは、キャンプの目的説明、参加者の自己紹介から始まり、事前課題(ニコニコ動画の広報担当者として新聞に取り上げてもらうために書類を用意する)を使ったワークショップ、さらに特別ゲストとしてお越しいただいた、聖路加国際病院乳腺外科医長の山内英子先生と株式会社ドワンゴ川上量生会長のトークセッションが行われました。
山内先生からは乳ガンの事例、医療コミュニケーションの現状と課題について、川上さんからはニコニコ動画のサービス内容や生中継をやっている意味、起業についてなど貴重な話をお伺いすることが出来ました。

ゲストの話を聞いた後は、二人の問題意識を記事にする企画書を考えました。チームによっては、午前3時、4時まで議論していましたが、朝の相互レビューでは「上から目線なのではないか。これまでの新聞社の枠組みから抜け出せていない」「ゲストの問題意識が的確に捉え切れてないのではないか」と厳しい指摘が相次ぎ、目的、読者を意識する難しさを確認しました。
参加者からの振り返りでは「本質は何かを問いかけていかなければいけない」「記者がいかに読者を意識していないか分かった」「いつも使っていない頭を使い疲れた」など、普段何気なく伝えたり、書いたり、していることの奥深さ、難しさ、楽しさを学べたという感想が多くありました。プログラムが終わっても、多くの参加者の皆さんが会場に残って笑顔で交流を深めていました。このキャンプで出来た絆が続き、新しい動きが広がっていくと嬉しいです。
参加者の皆さん、準備をした学生運営の皆さんお疲れ様でした。そして、お忙しいところゲスト講師として来ていただいた山内さん、川上さん、ありがとうございました。
プログラムには至らないところも多くありましたが、参加者自らが考え、学ぶ、これまでにないジャーナリスト教育のかたちが見えてきたのではないかと思います。また、予想以上に早いスピードで参加枠が埋まってしまいましたので、機会を見つけて各地でワークショップの開催も検討していきますので、関心がある方はご連絡ください。
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