法政大学社会学部藤代裕之研究室と一般社団法人コード・フォー・ジャパンは「コミュニティノート × 選挙 ― 参議院選挙での活用方法をみんなで考える」を実施しました。
2024年兵庫県知事選挙に関するX(旧Twitter)の投稿データやコミュニティノートデータを、ビジュアライゼーションツール「Tableau」を使い可視化することで、何が起きていたのか、どのような課題があるのかを分析し、今後の活用につなげるものです。
記者、データサイエンティスト、エンジニアといった異なるスキルを持つ参加者同士がチームを組み、グループで取り組みました。メディア関係者は東北や九州など全国から参加があり、SNSの偽誤情報対策としても注目されるコミュニティノートへの関心の高さが伺えました。
まず、コミュニティノートの仕組みの解説、兵庫県知事選挙におけるコミュニティノーの分析結果を共有しました。
兵庫県知事選挙に関連する投稿では、ノートが付与された116投稿のうち、公開されたのは5投稿にとどまり、表示時間も10時間と短いため機能不全でした。同時期のノート公開率は15%ですが、選挙関連は3%と非常に低い状況でした。
次に、データ可視化に取り組むチームVIZZIESにより、ビジュアライゼーションツール「Tableau」のハンズオンが行われました。
- VIZZIESの活動:オープンデータスゴイ
多様なスキルの参加者があるので、「ノートを書いてみる」といったプログラムも用意していたのですが、私も含め全員が「Tableau」に挑戦しました。
その後、VIZZIESやコード・フォー・ジャパンの皆さんのサポートを受けながらチームで議論。ノートが付与された投稿の違い(テキスト、動画、静止画)により拡散力に差があるのか、投稿に対してどのタイミングでノートが作成されているのか、などの分析が発表があり、質問や議論が盛り上がりました。
例えば、ノートは誤解を招く可能性がある投稿に対して早い段階で作成されており「ノート協力者は熱心なのに、公開されているノートが少ないのは残念」といった公開率の低さについてのコメントや、ノートが複数作成されて盛り上がっている投稿の拡散力が大きいとは限らないことから「ノートの盛り上がりで、重要度を判断してはいけないのではないか」といった議論が行われました。
参加者の皆さんには、X投稿やノートのデータを見て、チームで議論してもらったことで、解像度が上がり「コミュニティーノートの役割を理解できた」という感想がありました。
問題意識を持つ記者らに、データやアルゴリズムについてコード・フォー・ジャパンが、何を目的に可視化したいのかをVIZZIESがアドバイスする、といった具合にそれぞれの役割が掛け合わされることで面白い分析につながったことから、社会課題に関心を持つ異なる業界や団体がクロスする場をつくることが重要だと改めて実感しました。
この取り組みは、JST-RISTEX「ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成プロジェクト(ニューストラスト)」による研究成果の一部です。