フォーラム「表現の自由が危ない」にパネリストとして参加しました
京都で行われた文化フォーラム「表現の自由が危ない」(主催・関西MIC、京都MIC)にパネリストとして参加しました。
名誉毀損でオリコンに訴えられたフリージャーナリストの烏賀陽弘道さん、テレビ番組での発言で安倍元首相の秘書から訴えられた朝日新聞の山田厚史さんの講演。その後ブロガーとしても有名な弁護士日隅一雄さんと私が加わり4人でパネルというプログラムでした。
日経IT-PLUSでのコラムや「月刊ascii(アスキー) 2008年07月号」のネット規制の記事を見た新聞記者時代からの友人から連絡があり引き受けたのですが、正直なところ少し心配はありました。「表現の自由を守ろう」とシュプレヒコールが響くような旧来型左翼の集会だったら…
実際にはそんなことはなく、山田さん、烏賀陽さんはユーモアを交えながらSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)と呼ばれる表現を封じ込める報復的な訴訟について分かりやすく話されていました。
パネルでは、コーディネーターの日隅さんがバランスよく話題を振っていただいたこともあり、この手の集会にありがちな「ジャーナリストは表現の自由のために闘うべし」といったステレオタイプなものにならず、ブロガーや掲示板に書き込むネットユーザーも含めて誰もが訴訟の対象になる時代になっていること、表現の自由や多様性が民主主義にとって重要なことであることが丁重に語られれました(逆にマスメディア側の感度の低さが問題になった)。有害規制などを望む人々の声が自ら表現の自由を縛っていることも伝えることが出来ました。
パネリストの皆さんとは初対面でしたが、問題意識がシンクロする部分も多く、「ジャーナリストというのはマスメディアに所属している人だけではない」という私の発言に賛同してくださったり、山田さんが変化の時代だからジャーナリストならワクワクするはず、とおっしゃっていたり。現在の企業別ではなく職能集団としてのジャーナリストグループの可能性にも言及がありました。
若い人や記者の参加が少なかったのは残念でしたが、懇親会での「最終的に判断するのは読者」(「ニュースキャスター エド・マローが報道した現代史」の「クローバー・カード」も参考に)といったジャーナリズムのあり方やスキルアップのための情報交換の「場」、互助組織についてディスカッションでき、大変有意義でした。
フォーラムを準備された事務局の皆様に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
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