進むMSN産経、明らかに出遅れた毎日jp
毎日新聞と分かれたマイクロソフトが産経新聞と組んで10月からスタートするニュースサイトMSN産経の記者会見が行われ、特ダネのウェブ優先「ウェブファースト」だけでなく、紙とウェブの編集を一体化するという踏み込んだ方針が示されました。ウィンドウズ・ビスタの「ガジェット」やメッセンジャーでのチャットなど、準備期間が短かったにもかかわらずMSのサービスとの連携も行われるようです。
記者会見の内容は下記ニュース記事を見ていただければ分かりますが、特にITmediaに紹介されている、「紙とネットの間にある高く厚い壁を破壊していかなければならない」「ネットの取り組みを制限しても、紙を守ることにはつながらない」「10倍の読者に向けて記事を書けると記者たちは燃えている」といった産経幹部のコメントからは並々ならぬ意欲を感じます。
一方、MSを切った毎日新聞の新サイトは、記者から「見出しに立つようなものを」と質問が出るほど10月からスタートする時点ではニュースサイトとして特筆する部分がなく、注目されたブロガーとの連携も具体的には不明。GIGAZINEに「毎日新聞の新サイト「毎日jp」の発表会でさらし者にされてみました」と晒されてしまう始末です。このままではせっかく作ったCM「ヤフーニュースに勝てないんでしょ」は、ドコモ2.0のような自虐CMになりかねません。
毎日がどうすればよかったかは、parsleyさんが「毎日jp」はどうすべきだったのか?にほぼ書いてくれていますが、付け加えるならネットのカルチャーがあまりにも分かっていないことが挙げられるでしょう。「私どもには新聞記者が2000人おります。一人前の記者に育てるのに10年かかる。10年かかって、現象を前に事実が何なのかようやく体得できる。それを改めてネットのなかでお示ししていきたい」とか言われても苦笑いするしかありません。
何度も書いていますが、紙とウェブは同じコンテンツを扱っていますがメディアとしての性質は異なります。ネット世界を肌で知るだけでなく、技術への理解も必要で、紙のやり方をそのまま持ち込んでうまくいくわけがありません。産経はその点、ネット企業の中でももっともエッジが立っている変態天才社長率いるチームラボと組んでizaを立ち上げ、記者にブログを書かせ、社員にネットのカルチャーを肌で感じさせる取り組みを早くから行ってきました。
産経はセカンドライフのような3Dも開発中で、紙では産経エクスプレスを創刊、同業者の中には「紙がまずいところは必死だな」と揶揄する声もありますが、ビジネスはそもそも必死でやるものですし、100年続いた新聞のビジネスモデルが崩壊しそうなのに、何を言っているのかと思います。共同が地方紙とつくった47ニュース、週刊ダイヤモンドが報じた「朝日+日経+読売=ANY」構想もありますが、どんなに戦略図をきれいに描いても、必死でやらないところは失敗するでしょう。
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