ガ島通信

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毎日新聞がヤフーとの関係を強化

日経ビジネス(07年9月10日号)が「毎日、ヤフー陣営と関係強化 ニュースポータル戦国時代に備える」とのタイトルで、毎日新聞がヤフー陣営をパートナーと捉え、ヤフーへの包囲網を固める他社との差別化を図る戦略に出たことを伝えています。

MSN毎日インタラクティブを共同運営しているマイクロソフトと別れ、そのマイクロソフトが産経新聞と新しいニュースサイトMSN産経を立ち上げるという方針に対して、日経ビジネスは「産経が毎日に勝ったワケ」という記事を掲載。
「負け」認定された毎日の動きが注目されていたわけですが、まずヤフーが36%の株を所有(トップはリクルートの48%)しているオールアバウトとタイアップなどの広告商品を開発、販売することを発表しました。さらに、今回の日経ビジネスの記事によると毎日はヤフーの広告ネットワークの一員となり、さらにヤフーニュースへの記事提供量を増やしてアクセス増を狙うということです。

「陣営」や「ニュースポータル」という発想が…というのはさておき。まず「ヤフー包囲網」の話。一部全国紙や地方紙に「打倒ヤフー」の動きはありますが、ヤフーニュース提供社一覧を見れば、多くの新聞社がヤフーに記事を提供していて「包囲網」は掛け声倒れということが分かります。新聞各社は、ヤフーへの反発はあれど、アクセス数を考えると記事引き上げは出来ないというのが実態でしょう。

また、MSN毎日であれば、マイクロソフトはまさにパートナーだったわけですが、多数の記事提供社があるヤフーとの関係はMSとの関係のようにはいかないでしょう。記事中でもヤフープロデューサーの川邊さんが「特定のメディアを特別扱いすることはない」と明言しています。毎日がヤフーをどんな「パートナー」と考えているのか興味があるところです。

それにしても、新聞各社のネット戦略についていろいろな記事や考えを見ていると、単なるアクセス欲しさ以外に何かあるのだろうか?と疑ってしまいます。そもそも新聞社はネット上で何をしたいのか、ユーザーにどのような価値を提供するのか。(「新聞社 破綻したビジネスモデル」の書評でも書きましたが…)顧客視点がまるっきり欠落している気がします。

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