ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

広報専門誌「PRIR」2月号に寄稿しました

宣伝会議が発行している広報の専門誌「PRIR(プリール)」2月号に、「ブログ運用で問われる企業の覚悟」と題して寄稿しました。以前に、日本パブリックリレーションズ(PR)協会の秋季PR大学「ウェブを中心としたPRの新しい潮流」にパネリストとして参加した際、編集部の方と知り合い、今回寄稿するチャンスを頂きました。

どうなる2006年という特集の企業イメージ戦略の部分で、中見出しは「ネットでつくる企業イメージはさらに重要に」です。ブログと企業広報について、社長ブログに代表される「顔の見える」広報ツールとしてのブログ、ネットでのマナーやネット世論、取材する記者側の意識変化など、今年の動きを抑えつつざっくりとした話を書きました。ブログに詳しい方、ネットリテラシーの高い方には少々物足りない文章かもしれませんが、よろしければごらんください。
PRIR2月号の巻頭特集は、編集部が選んだベストPRパーソンである自民党世耕弘成参議院議員とPR大学でも司会・進行を務めてた江戸川大濱田逸郎教授による対談で、これも非常に参考になりました。『今回の自民党の作戦に対し、プロパガンダ批判やポピュリズム批判がありますが』と尋ねた濱田教授に対し、世耕議員は『私が手がけたのは、事実を真っ当に伝えると言うことなのです。日本のマスコミ政治報道は、いくつかの問題はあるにせよ健全に機能しています。マスコミをミスリードし、広報で悪い内容を良くすることは絶対にできません』と語っています(確かに、自民党にとっては健全に機能していますね。ここまでコケにされてもマスコミの政治報道が変わる気配がないのが悲しいを通り越して、笑える)。

濱田教授の『選挙公報はクライシス広報と枠組みが同じである』と感想を述べているのも印象的でした。2005年は、ライブドア乙部と言い、世耕議員と言い、広報に携わる人や広報戦略が注目された一年でしたが、最近の広報はきれいな部分ばかりがクローズアップされている気がします。広報は本来泥臭いものですし、危機となればなおさらなのですが… まあ、キャビンアテンダントが仕事の割りに過大評価されているのと同じことなのかもしれません。広報部門が注目されることで優秀な人材も集まるだろうし、やりがいもでるので良いことです。

それにしてもPRIRを見ると、自治体広報(徳島県の県職員が寄稿していた。片岡さん元気にしてますか?)、大学広報などのコーナーがあります。ネットの普及とツールの簡易化(たとえばブログ)は、あらゆる人や企業、団体をメディア化してしまうことを、象徴しています。これまでの広報担当者は、既存メディアの記者といかにうまく付き合うかを求められてきたわけですが、ネットの媒体力が向上し、自分で発信できるようになってきた今、広報担当者の選択肢はかなり広がっています。来年以降も注目の分野です。