ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「毎日jp」の記者発表会に行ってきました。

マイクロソフトとの提携を解消した毎日新聞が10月からスタートさせる新サイト「毎日jp」の記者発表会に行ってきました。サイトの概要だけでなく、ロゴとキャラクターも発表されましたが「来年4月のフェーズ3がひとまずの完成形」ということもあり、イマイチどんなサイトになるのか、どんなユーザーが読むのか良く分かりませんでした。
会場には、社員が参加したという「ヤフーニュースに勝てないんでしょ」という刺激的なセリフ入り新サイトのCMも流れていました(CMは「毎日jp」で見ることができます)。

出席者は、毎日新聞の朝比奈豊主筆(デジタルメディア担当)、長谷川篤デジタルメディア局長、毎日新聞デジタル荒井健治社長、広告商品開発で提携したオールアバウトの江幡哲也社長、新サイトでコラムを担当する女優の黒谷友香さん。出席者の主な発言内容は以下の通りです。

朝比奈主筆

毎日は、2004年からマイクロソフトと提携したサイトMSNインタラクティブでニュースを配信してきた。これは大きな成果があり、新聞社サイトのブランドイメージが構築できた。提携で非常に大きなことを学んだが、新たなステージにステップアップしたいと考えた。
コンセプトは信頼のオープンサイト。ネットにはいろんな情報がありますが、信頼をベースにした情報が利用者から求められている。毎日新聞は創立135周年、日々新聞を作る上で培ってきたノウハウがある。新聞社の殻に閉じこもらずに、広く双方向の交流をしながら、独りよがりにならずにやりたい。「開かれた新聞」をキャッチフレーズにやってきた。偏らないでフォーラムのような紙面展開。考え抜かれた社論を打ち出しつつ、偏見にとらわれず、考えていく紙面を目指してきた。これを新しい時代のネットサイトで展開していく。新聞は読者の皆様に支持を得ていると思うが、10月からスタートする新サイトでさらに進化をしていきたい。
先日、よく仕事をやったなという新聞協会賞を二年連続で受賞した。新聞界で一番多い22回。こうした実績が象徴しますように、ニュースの世界ではトップレベルで質の高いニュースを流してきたという自負がある。生活に役立つ、楽しい、充実させた毎日jpにしていきたい。


オールアバウト江幡社長

毎日jp応援団の一人として、メッセージを述べにきた。2000年に会社をスタートしたが、ネットの世界の中で、各分野で活躍されている専門家の協力を得て、信頼できる情報をありとあらゆる分野で発信している。いま月間1600万人の利用者がいる。ネットが登場して、誰もが発信できる時代になった。ブログ、SNSといった、消費者発信メディアが立ち上がってきている。これはすばらしいことだが、情報が氾濫しているとの声もある。
歴史、信頼感、コンテンツといった毎日のよさと、いろんな人が発信できる自由というネットのよさで新しいサイトが立ち上がる。我々だけでやっていても限界がある。パートナーが現れることを心待ちにしていた。ブログなどいろんな情報が氾濫して使いにくくなっていることもあり、こういう時期なのかなと思う。
オールアバウトは、ニュースコンテンツにとどまらず、いろんな生活分野でコンテンツを一緒に展開させていただく。ビジネスの側面については、旧来のメディアと新しいメディアを合わせたクオリティメディアの広告の開発。今回のパートナーシップで新しい広告の展開もご一緒させていただきたい。


毎日新聞デジタル荒井社長(毎日新聞デジタルは4月に誕生した業務委託会社)

毎日MSNはニュースサイトナンバーワンを獲得した。その理由は、ネット読者に合わせた情報の選択、エンタメを硬派な視点で紹介、ネット独自のコンテンツ掲載の3つがあったのではないか。ただ、編成権の限界、事業展開が自由がない、生活情報を十分に配信できない、という限界も感じていた。独立して新しいサイトをやっていくべきではないか。次のサイトはどういったコンセプトでやっていくのか。毎日新聞のブランドイメージ「開かれた新聞」「論争のある新聞」「役に立つ新聞」これをそのままネットで実現するにはどうしたらいいか。オープンで楽しく役に立つサイトにしていこう。信頼情報の発信が出来るようにしていこう。

何がかわるのか?
1、カテゴリーの見直し、
2、オープン化
3、見るだけのサイトから役に立つサイトへ

開かれたサイトを目指した取り組み。おすすめブログ、ソーシャルブックマークに対応、RSS対応、コラム、ブログパーツを提供といった様々な取り組みを行う。例えば、まんたんウェブでやっているが、個人のブログに毎日のブログパーツを張っていただこう。掘り出しニュース、みんなのニュースを提供して毎日JPに戻ってきていただく。
ロゴデザイン担当は佐野研二郎氏(博報堂。リスモやニャンまげのデザイン)。キャッチコピーは「毎日、世の中を、散歩する」

サイトデザインはすっきりと分かりやすいナビゲーション。充実した検索。豊富な写真。充実した地域情報。愛読者サイト「まいまいクラブ」との連携もはかっていく。

MSとお別れして独立したサイトをつくっていくためには、いろいろな企業、サイトと協力して行かなければならない。ヤフー、楽天などから協力を頂く。皆さんと一緒に作り上げていく。スケジュールは、フェーズ1でスタートし随時バージョンアップしていく。フェーズ3が来年の4月ぐらい。来年の4月には大きな発表、ご報告ができると思う。


長谷川デジタルメディア局長

ポイントがしぼりにくい説明ですが、来年4月に完成系をお示しできると思う。お話しすれば見出しになることはあるが控えさせていただきたい。
一番大切に思っているのは、朝比奈主筆が申し上げたように情報の信頼。
MSNと提携をして3年経って手応えを感じた。この手応えが独立するきっかけ。情報はたくさんあるが結局は何なのか、どれが頼りになるのか、という情報を求めていらっしゃる。私どもには新聞記者が2000人おります。一人前の記者に育てるのに10年かかる。10年かかって、現象を前に事実が何なのかようやく体得できる。それを改めてネットのなかでお示ししていきたい。

質疑

Q、PVの現状はどのくらいか、新しいサイトはどのくらいを目標か、ビジネス上の目標、今回の新しいサイトでの業界初見出しにたつようなものがありましたら
A、PVは3−4億の間を行ったり来たり。ネットレイティングは在宅で調べているから昼間からのアクセスが多いサイトだと良く分からないところはあるが、ニュースサイトでは一番なのではないか。天下のマクロソフトさんと分かれて、どれくらいPVなのか?一旦は減るでしょう。2億、2億はきりたくないんだかれど、2年の間に超える、3年後にはそれ以上が目標。売り物になるものは出来にくいんですが、どれだけユーザーの方に好みに応じた使いやすいサイトにしていくか。政治経済社会という枠をこえて、エンタメの人はエンタメから、ニュースの人はニュースに入っていただける。ユーザービリティを新聞社サイトでは早める。とは、信頼できる情報をオールアバウトとどう作っていくか。

Q、著名あるファブロガーやネットジャーナリストと協力と書いてありますが具体的には?オープン化すればするほど信頼が難しく、バランスがとりずらい。
A、信頼とオープン化は二律背反しない。某社のように世の木鐸ですといったのは嫌われる時代。ブロガーはそれぞれ世界を持っている。毎日がグルーピングするのではなく、ネットの信頼を得るのにどうしたらいいのか。新聞になれすぎて、狭い世界の視野になっていると思うので、ネットの可能性双方向性についてアドバイスを頂いて、毎日がネットで一定の役割を果たせるようアドバイスさせてもらう。そういうご支援を頂きたい。


参考エントリー