捜索前なのに「ライブドアを強制捜査」NHKは誤報と認めず
東京地検特捜部が証券取引法違反容疑でライブドアを家宅捜索したニュースは、各社容疑内容が微妙に違っているなど情報が錯綜していて良く分かりません。しかし、NHKが4時のニュースで「ライブドアを強制捜査」と報道したにもかかわらず、実は捜索前だったことは間違いないようです。朝日新聞も記事にしています。
asahi.com「NHKと日経、ライブドア捜索着手前に「強制捜査」報道」
ライブドアの証券取引法違反容疑で東京地検が家宅捜索に入る前の16日午後4時過ぎ、NHKは「東京地検が強制捜査に乗り出しました」と報道した。午後7時のニュースで「その段階では任意の捜査であり、本格的な捜索は午後6時半ごろからでした」と説明した。
NHK広報局は「事実関係は誤っておらず、一連の報道は全体として誤報にあたるとは考えていません」との談話を発表した。
日本経済新聞もインターネットのサイト「NIKKEI NET」で午後4時18〜27分、「家宅捜索した」と流した。午後6時5分、「家宅捜索する見通し」と差し替え、「その時点で家宅捜索の事実はありませんでした」というお断りを掲載した。
日経新聞社長室は「準備していた原稿を手違いで早く送ってしまった。改めて令状をとったことを確認して訂正した」と説明している。
日経は本当のところはどうであれ訂正を入れていますが、NHKは「誤報でない」との姿勢です。
ついでに、ラジオNIKKE(ヤフーより)によると
NHKは16日午後4時のニュースで「ライブドアを証券取引法違反容疑で東京地検が家宅捜索を開始した」と報じた。(ラジオNIKKEI) - 1月16日16時45分更新
となっています。私もNHKを見ていましたが、家宅捜索や強制捜査という言葉があったと記憶しています。実は「任意でした」(あくまで説明で、訂正ではないらしい)と説明しながら「事実関係は誤ってはない」というのはどういうことでしょう。NHKの司法担当記者は法律を知らないのでしょうかね、それともNHKの記者にだけはライブドアに入る検事や地検事務官が見えたのかもしれません(皮肉ですよ)。
東京地検特捜部に関係する報道は、マスコミ内部では「あることないこと」どころか「ないこと、ないこと」を書いているという人もいるほどです。特捜部はマスコミを使った世論誘導を行い、劇場捜査を行っている(例えば、特捜部は近くで整列して家宅捜索に入る。あれは、マスコミを利用した国民向けのパフォーマンス)との疑いが指摘されています。さらに、マスコミの中にも「特捜部がやっているのだから間違いない」という気持ちがあります。何度も書きますが刑事事件は推定無罪の原則ですが、毎日新聞は早くも
インターネット関連企業「ライブドア」(東京都港区)グループによる企業買収を巡り、堀江貴文社長(33)らが、自社やグループ会社の株価をつり上げる目的で虚偽事実を公表した疑いが強まり、東京地検特捜部は16日、証券取引等監視委員会と合同で、同社や堀江社長の自宅など関連先を証券取引法違反(偽計、風説の流布)容疑で一斉捜索した。ニッポン放送株のフジテレビとの争奪戦やプロ野球への参入表明、衆院選立候補などで注目を集めたIT時代の寵児(ちょうじ)による不透明な行為は、刑事責任を問われる。
堀江社長が刑事責任が問われると断言しています。
マスコミの本来の役割は、東京地検特捜部の露払いをすることではないはずですが、捜査を検証するマスコミがあるとうは到底思えない… 特捜部ににらまれれば、たとえどのような罪であろうとも、裁判を前にマスコミと世論によって裁かれてしまいます。
北海道新聞の奇妙なお詫び記事といい(参考・北海道新聞、道警と手打ちか?問われるジャーナリズム)、なんとも悲しい気分になってきました。