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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

東日本大震災におけるマスメディアとソーシャルメディアに関する調査研究が出版されました

公益財団法人新聞通信調査会の委託を受けて進めて来た調査研究「大規模震災時における的確な情報流通を可能とする マスメディア・ソーシャルメディア連携の可能性と課題」がまとまり、同じく委託を受けていた5つの調査研究とともに『大震災・原発とメディアの役割〜報道・論調の検証と展望』として出版されました。

「大規模震災時における的確な情報流通を可能とする マスメディア・ソーシャルメディア連携の可能性と課題」は東海大学の河井孝仁教授を主査として進めてきたものです。
新聞社を中心に、マスメディアのソーシャルメディアやデジタル部門担当者のヒアリング、Twitter分析、ネット調査などで構成されています。
ヒアリングしたのは、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産經新聞日本経済新聞の全国紙。岩手日報河北新報福島民報茨城新聞の被災地域の地方紙。放送局ではNHK、ラジオ福島IBC岩手放送。ネット企業としてYahoo!JAPAN、ニコニコ動画ニワンゴ)、UstreamTwitterです。

ヒアリングでは各社のソーシャルメディアへの取り組みや特徴を明らかにしています。全国紙と地方紙を網羅している点で貴重な資料になっていると思います。ニコニコ動画Ustreamからはテレビ・ラジオ局の再配信状況や人気上位番組のデータも提供してもらいました。
Twitter分析では、朝日新聞と茨城新聞河北新報ラジオ福島の各アカウントのツイート数や内容を比較しています。Twitterを使うといっても、被災の状況や目的に応じた変化があることが分かりました。そして河北新報の寺島英弥編集委員への記者インタビューも収録することができました。
残念ながらページ数の都合で重要なポイントの抜粋となっています。ほぼ全文書き起こしはブログで読む事ができます:つながりのジャーナリズム 寺島英弥さんとの対話
考察では、ソーシャルメディアが生んだ情報空間、地方と中央の問題、社内連携の不十分さ、報道機関の役割について指摘しています。そして個のジャーナリストの時代であることを踏まえた、ソーシャルジャーナリズムの七つの原則を提言として盛り込みました。
忙しい中、各担当の皆さんは快くヒアリングを引き受けて頂きました。改めてお礼を申し上げます。主査の河井先生の指導、サポートしてくれた大学生・院生の活躍がなければたどり着く事はできなかったと思います。ありがとうございました。

上野征洋事業構想大学院大学副学長は、『大震災・原発とメディアの役割〜報道・論調の検証と展望』を福島原子力発電所の四つの「事故調査報告書」に次ぐ第五の報告書と位置付けています。民間事故調にはワーキンググループの一人として関わり、ソーシャルメディアと政府や東電の情報発信について調査を行い「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」となって出版されています。東日本大震災に関わる五つの報告の二つに関われたことは、大きな経験となりました。
この調査研究もメディアや自治体の取り組みの一部を切り取ったに過ぎませんが、次の災害時の情報発信の参考になり被害の低減に役立つこと、そして何よりもジャーナリズムが社会の中で役割を果たす事ができることを願っています。
『[『大震災・原発とメディアの役割〜報道・論調の検証と展望』:title=大震災・原発とメディアの役割〜報道・論調の検証と展望]』には、原子力政策報道とジャーナリズム(代表山腰修三慶應大学専任講師)、東日本大震災とニュースメディア(代表大井眞二日本大学教授)など計6つのチームの報告がまとめられています。502ページで、定価1,400円(税別)。
<追記:Amazonで購入できるようになりました>