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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「あなたがメディア!ソーシャル新時代の情報術」

あなたがメディア! ソーシャル新時代の情報術
ダン・ギルモアは歩んできた道が似ていると思うんですよ」と話したら「藤代さんが日本のダン・ギルモア?」と吹き出したのはITmediaの藤村さんでした(吹き出したように見えたのはどうやら勘違い…)。ITmediaの社内勉強会が始まる前の雑談で、ダン・ギルモアの新刊「あなたがメディア!ソーシャル新時代の情報術」について話していた時のことです。
ダン・ギルモアは、元サンノゼ・マーキュリーのコラムニストで、ブロガー。ベンチャー企業「グラスルーツ・メディア・インク」を設立したり、「ベイオスフィア」というオンラインコミュニティーを立ち上げたりと、早い段階からオンラインジャーナリズムに取り組んでいました。現在は、アリゾナ州立大学のジャーナリズムスクール(ウォルター・クロンカイト・スクール)のデジタルメディア・アントレプレナーシップセンターの所長。
前著である「ブログ 世界を変える個人メディア」に比べると起業や経営の経験が生き、実践的になっています。「あなたがメディア!」は「mediactive」という名前で、同名のサイトも運営しているのですが、タイトルが「あなたがメディア!」では、メディアを一人もしくは少数で経営していく時代という、この本に流れている背景があまり伝わらずもったいない気がしました。この背景があるから「mediactive」だし、ジャーナリズムの客観性について語らないのに…
誰もが情報発信できる時代のジャーナリストは、伝える技術はもちろん、ネットの技術にも詳しくなり、起業家精神も必要。よく読むとなかなか厳しい。アメリカでは新聞社のリストトラで記者が解雇される一方で、AOLがブログネットワークを作るなど新しい取り組みもあります。ジャーナリストが働くメディアがなければ作ればいい。デジタルメディア・アントレプレナーシップセンターが設立されているのも、そんな流れにあるのでしょう。
日本では、ジャーナリズムやメディアに関する大学・大学院は、まだまだ「論」が中心ですが、仲間と立ち上げた日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)では「Entrepreneurial Journalist」を掲げて取り組んでいます。それは新聞社からネット企業に転職し、ニュースサービスを作って失敗し、ウェブサービスをいくつも作った経験から来たものです。ダン・ギルモアの経験とは比べるものではないかもしれないですが…
JCEJ運営メンバーでもこの本が話題ですが、感想は「これいつもJCEJで話してることだよね」です。誰かがやるのを待つのではなく、自らやるのも「mediactive」ではないでしょうか。メディアやジャーナリズムに興味がある人は今読むべき本であることは間違いありません。そして、読むだけではなく実践してこそ、この本の価値が高まるでしょう。
ちなみに、勉強会のことは「ビジネスマンとしての藤代裕之氏―メディアビジネスのこれから」に感想が書かれています。
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