ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

ワッチミーのビジネスモデルとは

FPNの徳力さんが主催している「イノベーション勉強会・ワッチミーTVのビジネスモデルを考える」に参加してきました。YouTube人気で注目を集めている動画共有サービス。アメリカでは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが「Grouper.com」を76億円で買収し、日本でもASKが既にスタート、NTTが28日からトライアルスタートと、次々と動きが出ています。その中でワッチミーは、フジテレビという既存のマスメディアが関わっているというちょっと違った特徴があり、その点がディスカッションでも焦点になりました。
私の参加した班では、iTmsをアイデアのベースに、現在のようなユーザー投稿型のモデルではなく、(著作権、肖像権などの問題はあるものの)フジテレビがこれまで放映したものを視聴することができ、CMや課金で収益を得る、フジテレビ再放送テレビのようなモデルを考えました。YouTubeとは直接戦わず、提携して、良いコンテンツを作る映像作家コンテストなどはYouTubeで行って手数料を支払うなどして、CGMの活用やコンテンツの質確保も狙うというものです。

他の班の発表では、M&AYouTubeを買う(ぐらいの勢い?)、専門学校と提携したアーティスト発掘の「場」にして教育ビジネスでも収益を上げる、テレビの補完媒体として考え「ネットもやってないの?」と言うクライアントもフォローしていく、などがありました。

ところでワッチミーは、フジテレビとベンチャー企業であるチームラボが出資した会社・フジテレビLLCが運営しています。このチームラボ、産経新聞のイザも手がけている注目企業です。市場で大きな存在である企業は、新しい変化に対して否定的に捉えてしまいがちですが、フジサンケイグループは昨年のライブドアとの闘い、騒動の中でかなりネットのことを学んでいると感じます。

「要するに●●(新しいこと。この場合はインターネット)というのはこうなんだろ?」と新しい変化を頭で分かっている気になって、ベンチャー企業やコンサルタントを「使う」というのは、レガシーな企業や組織に良くあるパターンですが、ほとんど成功しません。産経新聞とフジテレビは、チームラボというベンチャーと一緒に事業をやることで、ネットの「流儀」を取り入れ、イノベーションのジレンマをなんとか乗り越えようとしている気がします(ベンチャーとやることでリスクも回避できる)。そういう意味でもワッチミーの今後は楽しみです。

私は欠席していたので詳しくは分からなかったのですが、第一回の「YouTubeのビジネスモデルを考える」に比べると、夢見たいな話が減り、非常に現実的だったということです。夢のような話を語るのは楽しかったりするのですが、ケースがリアルに近づくほど一見「つまらない話」をしっかりやっていくのが重要になってくるのかもしれません。