読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

藤代ゼミ夏休みの課題図書「考える力をつける4冊」

代ゼミでは2年生を対象に春と秋に集中的に本を読む「読書祭り」を行っています。春はメディアの変化や構造が理解できる書籍、秋はジャーナリズムです。

当初2回の予定でしたが、本を読む習慣が乏しくなった弊害は大きく(全く本を読まない大学生は4割を超えている*1)取材や文章を書くと表現力が乏しく、想像力が欠けています。また、結論を急ぎ「分からないこと」への耐性が非常に低いのも気になりました。そこで夏休みにも課題を出す事にしました。テーマは「読んでも良くわからない本」。答えが簡単に出ず、考える力をつけるのが目的です。

f:id:gatonews:20140817233033j:plain

哲学の古典。デルフォイ神託ソクラテスより賢いものはいない」に対して反論していく中で、自分が知者ではないことを知っている自分が賢いという結論に到達する(無知の知)。疑問に対して正面から問うソクラテスの姿勢(問答)はジャーナリストが持つべき姿勢と共通する。

我思う、ゆえに我あり」。あらゆるものを疑った結果、疑っている自分自身の存在を否定できないと考えた。この疑う自分は、後の哲学にも大きな影響を与えて行くが、あらゆるものを疑うという姿勢はソクラテス無知の知にも通じるものがある。

死に至る病とは絶望である」と「絶望とは罪である」の二部構成。近代の理性主義を批判した本として知られる。ドイツ哲学は難解だが論理的なのでじっくり挑めば分かるのだが、この本は芸術のような分かるような、分からない感覚がある。

ウェーバーは「プロ倫」など他に重要な書籍がたくさんあるが、この本はウェーバーが言葉をどのように定義するのかという思考プロセスが読み取れるのが良い。薄い 本で、表紙に「なだからかな日本語に移した本訳書は初学者にもすすめたい」と書いてあるが、読み込めば決して簡単ではないことが分かる。

 

ドイツ哲学が入らずキュルケゴールかよ!と突っ込みが入りそうですが天の邪鬼なもので… 課題は西洋哲学が中心になりましたが、図書を選ぶにあたりフェイスブックで募集したところ多くの提案がありました。複数票入ったものがあります。『日本の思想』(丸山真男)、『自由からの逃走』(フロム)、そして『世論』(リップマン)です。どでも良い本ですので、長い休みがある方は、手に取ってみてはいかがでしょうか。

大学の授業でも分かりやすさが評価になる時代ですが、提供側が分かりやすくすればするほど自ら考え、読み解く力が失われている気がします。グローバル化も重要かもしれませんが、分からない物事に挑み、教養や知性を磨いて行くことを忘れてはならないと思います。

*1:全国大学生活共同組合の第49回学生生活実態調査の概要報告