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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

ついにインターネットが新聞を抜く、電通が「2009年日本の広告費」を発表

メディア

電通が恒例の「日本の広告費」を発表しました(電通のリリース、PDF)。ついにインターネットが新聞を抜き、テレビについで二番目となりました。歴史的にはひとつの区切りと言えますが、予想されていたことで驚きはありません。ここ数年で新聞は広告媒体として価値を急激に失いつつあることも明らかになり、構造的な変化は避けられないでしょう。
プロモーションメディア2兆3162億円を除く順位は以下の通りとなっています。()は昨年比。

  1. テレビ 1兆7139億円(89.8%)
  2. インターネット 7069億円(101.2%)
  3. 新聞 6739億円(81.4%)
  4. 雑誌 3034億円(74.4%)
  5. ラジオ 1370億円 (88.4%)
  6. 衛星メディア関連 (104.9%)

広告費全体が減っているのも特徴で、2008年に続いて減少。2007年に7兆191億円だったものが、5兆9222億円と6兆円割れでした。電通のリリースには、選挙やエコカー減税やエコポインというプラスがあったものの、景気低迷が大きく影響したと分析されていますが、クライアントが広告効果にシビアになり絞り込んだ面もあるのではないでしょうか。
テレビは「崩壊」などと言われていますが、減少はいわゆる四マスで最も少なく、底堅いところを見せています。地上波はチャンネルも限られておりアテンションが見込め、ネットとの連動でも使われるようになってきていますが、新聞と雑誌は相当厳しい状況です。
新聞の項目には『広告収入の落ち込みは新聞社の経営にも大きな影響を与えており、相次ぐ夕刊廃止や新聞社間の編集・印刷・輸送面での相互提携、ウェブや電子版の有料化、購読料値上げなど、既存の枠組みを超えた合従連衡やコンテンツの有料化戦略など、業界全体としての課題に積極的に取り組む動きが目立った』との記述もありますが、ポジティブに評価出来るようなものではないはずです。
新聞広告費のピークは1990年の1兆3592億円。その後、多少の増減はあるものの2005年までは1兆円を超えていましたが、ここ3年で3000億円減らし、1979年のレベル(6554億円)に落ち込んでいます。変化を見るために、1980・1990・2000・2009年の新聞、テレビ、雑誌、ネットの広告費を見てみます。

媒体 1980年 1990年 2000年 2009年
新聞 7086億円 1兆3592億円 1兆2474億円 6739億円
テレビ 7883億円 1兆6046億円 2兆793億円 1兆7139億円
雑誌 1281億円 3741億円 4369億円 3034億円
ネット - - 590億円 7069億円

広告費が減ったとはいえ、テレビと雑誌はバブル期の1990年レベル、新聞の苦しさが分かると思います。急激に広告が減少する中で持ちこたえているのは半分近くを占めている販売収入があるためです。逆に言えば、この販売収入(とこれまでの資産)がビジネス週刊誌に「没落」などと書かれながらも抜本的な構造改革に取り組めない要因となっています。
週刊 東洋経済 2010年 2/20号 [雑誌]
業界全体を見ると遅れている対応も、先日の東洋経済「新聞・テレビ断末魔」で紹介されていたように、各社に差が出始めています。
読売は1993年に1600億円の借金があったのがほぼ無借金となったにもかかわらず社員のボーナスを減らすなどコストカットに余念がありません。日経は電子新聞に数十億の資金を投入しています。地方紙の取り組みも紹介されていましたが、投資の原資が少なく新たなビジネス領域にチャレンジできる状況ではなくなりつつあります。
余裕がある時期だと失敗も許されますが、追い詰められてくると打つ手の選択肢が狭くなってきます。取り組みが遅れた社は、結局のところ、夕刊の廃止や提携、さらにはボーナス減(新聞の支出の半分が人件費)といった小手先のコストカットでジリ貧になり、資金に余力がある大手紙に飲み込まれることになるのかもしれません。
ネットを敵視し、新聞の優位性を主張していた頃が懐かしくもありますが、(未だに最終決戦を叫んでいる人もいるようですが…)大勢が明らかになってしまうともう手遅れでしかありません。
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