ガ島通信

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モバイル社会フォーラム2007・キーノート&セッション「地域社会とコミュニティ」

台風の影響が心配されましたが、モバイル社会フォーラム2007「モバイル時代のコミュニティを考える〜複雑化する社会と個人〜」(主催:NTTドコモモバイル社会研究所、後援:NTTデータシステム科学研究所、日本経済評論社)は、日本科学未来館のみらいCANホールで予定通り行われました。聞き取れた範囲でログをアップします。

石井威望所長(東京大学名誉教授)のキーノートスピーチ「モバイルとリアリティ」。GoogleアースやiPhone、スカイプを使ったデモ。VAIOのtype-UFOMAのハイスピードでスカイプを繋げて巣鴨と中継してスタッフが煎餅を買い物。老人ホームでの実験では、買い物だけでなく、人に会いたいといった要望が出た。「モバイルがリアルとバーチャルを繋げる」。
遊橋裕泰主任研究員の視点提示。「虚構と現実が混じってしまって不安になる。ICTを個人が使いこなすようになっているのに社会が、コンフリクトを起こしている」。
セッション1「地域社会とコミュニティ」
東海大学河井孝仁准教授。静岡県島田市のeコミュニティプラットフォーム研究会の活動。キャリア教育に関心がある、和菓子を探検しているなどいろいろなグループがあり、それぞれがセルとなっている。プラットフォームを利用することで面白いことができないかという考え。それぞれの関心によってグループは動いているが、管理人ブログによって人の力による編集で意味付けや気付きを与える構造。管理人のブログを呼んでいる人は、地域内の活動に積極的であるという調査も。もう一つの事例、和歌山県北山村のブログ村ブロでは、500人の村民に対して、6000人のブロガーがいる。さらに村の広報誌で紹介、オフ会には村長が登場する工夫も。


NTTデータシステム科学研究所寒川裕主幹研究員。「研究員というよりICT活用をしているNPOの立場で話したます」。八千代オイコスは、参加者が60人でほとんど実名。地図と写真、写真があるとレスポンスがありやすい。「見つけた」「気をつけよう」という地域の再発見が起き、地元に対する愛着が生まれる。これからは、行政への問題提起などオフライン活動に繋げていきたい。

河井さんと寒川さんの報告を聞いて私がコメントする形式。藤代「お二人の話を聞いているとおせっかいだと思う。(東京から比べると田舎の)徳島に住んでいても隣の人がどんな人かわからないということがある。リアルなコミュニティが崩壊しかかっているから、ICTを使った地域コミュニティづくりや再生に関心が高まるのだろう」「土地というリアルでつながっていたこれまでのコミュニティに比べて、インターネットは、ネットに接続している世界中とつながっている。例えばスカイプで、Googleトークで、携帯メールで、つながっている人たちも同じコミュニティに参加していると言えるかもしれない。そもそもコミュニティとはどういうものなのか。ネット時代のコミュニティ、地域とは何かお二人の意見を聞いてみたいのですが」。

河井「同じ関心を持つ人が繋がったのが地域。どう繋げるのかと言えば、勝手に繋げてください」、寒川「ネットで活動していても地元のことについて考えている人たちと出会う。自分が動いてみて初めて出会う」「地域コミュニティは響きがいいが、誤解と嫉妬の渦にある。ICTは誤解を解いていくツールにならないかと考えている」。藤代「ICTだけれど、リアルに帰結している。石井先生がキーノートでおっしゃったけれど、リアルが一番面白い」。

河井「地域デザインの課題があれば?」。藤代「地域でのコミュニケーションだけに、同質化してしまうことがある。これは企業(業界)も同じ。ネットを使って情報発信すると、検索エンジンが違った人を連れてきてくれる。検索エンジンはおせっかい。ただ、ネットは繋がった人がどこの誰だか分からないという点で不安も生まれる。それをどう考えるか。ネットは混沌だからいいやと受け入れて人が変わるのか、混沌を変えるのか」。