ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

Social Media Week Tokyoで「ステマの危険性とクリエイティブの未来」について対談しました

Social Media Week Tokyoで「ソーシャルメディアにおけるステマ(ステルスマーケティング)の危険性とクリエイティブの未来」というタイトルで元「広告批評」の編集長で銀河ライター主宰の河尻亨一さんと対談しました。とても楽しかったので、あっという間に時間が過ぎました。ブログでも少し振り返っておきます。

資料がスクリーンに表示されないというトラブルを「漫談」で乗り越えつつ、河尻さんからプレゼン資料の「メディアとネットワーキングのジャングルでサバイブするために-「ステマ」を生み出す情報環境とは?-」を提示しながら、2010年代の情報環境の説明がありました。
その中で、とても参考になったのは新聞やテレビといったマス(プッシュ型)メディアを垂直型情報環境、SNSやレビューサイト、掲示板、動画サイトは水平型情報環境と位置づけて、その中間にジャングルが出来ているという、説明でした。そして、水平型は、ビジネスモデルもインフラも ルール(倫理)も社会マインドも未整備、そして世代的なギャップもある。これが「ステマ」を生み出す要因になっているという指摘でした。
この垂直から水平への動きは、善悪ではなくて、動きを冷静に把握していくこと、ともおっしゃられていましたが、これはとても強く感じるところです。
水平型情報環境の話をするだけで、目を閉じたり、耳を塞いだり、場合によっては怒りだしたりする人もいたりします。自分自身が垂直型の世界(新聞)から来た事もあり、怒る人たちの気持ちも分かるのですが、世界が違えばルールも違うので「こういうはずだ」が通じないのです。それよりも「ジャングルは怖いけれど、新しい世界だから見てみるか」ぐらいだと気が楽です。
このあと、私から「ステマ」の定義やWOMマーケティング協議会のクチコミ定義などを紹介しました(ジャングルに道とまではいかず、標識を立てるぐらいの活動)。個人の情報発信の責任や、クライアントと事業者、書き手の良い関係について、そしてクリエイティブについて問いかけました。
河尻さんからは、個人の編集の可能性と責任について、そして「プロフェッショナルは場づくりをクリエーションする」との言葉がありました。そして、「ステマ」が政治に使われることの恐ろしさもありました。ランキングなどの操作、ボットによって人気が作られて行く可能性はいまでも十分にあり得ます。ここはもっと話したかったのですが時間切れでした。クリエイティブの話を楽しみにして来た来場者の方には申し訳なかったです。
実は河尻さんとお会いしたのは対談が二度目で、最初は日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)立ち上げの時に立ち話しただけでしたが、「ステマ」に限らずソーシャルメディアを取り巻く環境の問題意識も、非常に近く驚きました。また、この続きをどこかで対談できると嬉しいです。
この機会を作ってくれたデジタルガレージの佐々木さん、運営しているCCIのスタッフの皆さんお疲れさまでした。写真は対談中に河尻さんに撮ってもらったものです。
・来場者の方がtogetterにまとめてくれています
【関連エントリ(これまで書いた「ステマ」に関する記事など)】