ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

頂上の手前で足踏み、プロジェクト最大の危機

大学生向けのジャーナリスト育成プログラム「スイッチオンプロジェクト」の最後の全体ミーティングとなる「原稿を仕上げる」が27日に行われました。午後2時にスタートして、最後の参加者が帰ったのが午後11時近く。それでも原稿は数本しか仕上がりませんでした。前回の全体ミーティング「文章の構造を学ぶ」を前に、「企画書、アポ取りからインタビューも大変ですが、読まれる文章を書いていくことは最も難しい最後の山です」とブログに書きましたが、頂上の手前で多くの参加学生が足踏み状態となり、改めて書くことの難しさを思い知らされました。

出来上がった数本の原稿も、学生にしてはよく書けていましたが、正直中途半端なものでした。原稿は各班のデスクが仕上げたものを、私が最終的に確認してOKする手順になっているのですが、頑張っている学生の姿、各班のデスクが本業の合間を縫って熱心に指導してくれていること、なによりOKを出さなければ7月からgooニュースでスタートするにもかかわらず、記事が間に合わないことが頭をよぎり、妥協していたのです。
それを気付かせてくれたのは、プロジェクトを支えている学生運営委員でした。gooニュースでアルバイトをしている運営委員から「このままでは読まれない」「自分たちで関わっているからお情けで掲載してもらうようなのは悔しい」と指摘があったのです。

いくら学生が書いているからといっても読者には何の関係もありません。gooニュースには、朝日や読売といった全国紙、通信社、日経ビジネスオンライン、ダイヤモンドオンライン、Voiceといった雑誌など、さまざまなメディアから毎日大量の原稿が送られてきています。特別扱いして無理に掲載したところで、数字という冷酷な指標で評価されてしまいます。

プログラムが始まる前にデスク同士で「これは学生のお遊びではない。プロに負けない記事を」、「ジャーナリストとは何かを問い、質のいいジャーナリズムを確立していきたい。そのために自分たちも学びあい、高めあおう」と話し合ったことが、いつしか目の前の指導と原稿に追われて見えなくなっていました。
どのようなプログラムをいつ提供して、どの段階で記事がどれくらい仕上がっているか、計画・修正していくのがプログラムディレクターの仕事なので、すべては自分の責任ですが、まずは危機を乗り越える必要があります。
未明に各デスクにメールで、厳しい見通しを持っていることを伝え協力を呼びかけ、ラストスパートすることにしました。掲載を後ろにずらすことはしません。残り時間は少ないですが、少しでもレベルの高いものになるよう力を注ぎます。掲載は7月1日からです。
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