ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

時代の変革期に咲いたあだ花散る、オーマイニュース閉鎖

ついにオーマイニュースが閉鎖されることになりました。ITmediaやCNETの記事によると閉鎖は「世界的な経済状況の悪化」によるものだそうです(そんなわけはないのですが…)。オーマイニュース失敗の原因については日経IT-PLUSのコラムで昨年夏にすでに分析しています。

「インターネットメディアでありながら、インターネット的ではなかった」ということに尽きると考えている。そして、市民メディアを標榜していながら、その本質が従来型メディアそのものだったことも見逃せない要因だ。

創刊からの2年間を外から振り返ってみると、反省を生かす要素が見つからないぐらい、失敗を重ねてきたことが分かる。インターネット事業にも関わらずネットを知らないスタッフ、ネットユーザーの情報発信力を軽視し、参加者・読者のメリットを考えない姿勢、そして市場環境や競合分析すらせず新たなビジネスに取り組む……。

 何よりわかったことは、誰もがジャーナリストとなるなら、その競争は所属する組織や媒体名ではなく、言論の質になるということだろう。オーマイニュースは、残念ながら編集部発の記事ですら質で勝負するレベルではなかった。これはどのような点よりも決定的であるし、既存メディアにとっても重要な示唆となる。

これらコラムをベースに朝日新聞ジャーナリス学校発行の「Journalism 1月号」に書いたのが

競争は「メディアを持つ」ことから「ユーザーの時間を獲得する」ことにシフトした。メディアが増え続けても、1日は24時間しかない。既存メディアも、次々と生活の中に入り込むブログやSNSといったソーシャルメディア、携帯、ゲームとの競合に巻き込まれている。何のために、誰のために存在するのか、常に考える必要に迫られている。

それにしても、市民メディアを標榜する多くのサイト、そして既存メディア、研究者の議論もオーマイニュースの失敗からあまり学んでいないように見えます。閉鎖が、メディアを持つことで満足することから、次のフェーズへ移行するきっかけになればいいのですが…