WOMMAの倫理規定(The"WOMMA Code")の基本理念(Fundamental Principles)日本語訳
アメリカの口コミ業界団体であるWOMMA(Word of Mouth Marketing Association)の『Word of Mouth Marketing Ethics Code of Conduct(The "WOMMA Code")』口コミマーケティング倫理規定が改定されました(参考・インターネット広告の秘密WOMMA、倫理ガイドラインを改訂)。
ブログ「aKio wAtanabE」を書いている渡邊さんの力を大幅に借り日本語化を行いました。何か問題があればご指摘ください。
倫理規定は「Fundamental Principles」に加え、「行動指針(WOMMA Code of Conduct)」「The WOMMA Code」と3つのパートに分かれています。
基本理念(Fundamental Principles)
消費者とマーケターが良好な関係性を築くための条件を根本から担い、主導権を握り、決定付けるのは、マーケターではなくあくまで消費者です。この相互理解の下で行われる口コミマーケティングを尊重し、促進します。どのような場合でも消費者の保護を約束するだけでなく、さらに良好な関係性を目指します。
(We respect and promote practices that abide by an understanding that the consumer-not the marketer-is fundamentally in charge, in control, and dictates the terms of the consumer-marketer relationship. We go above and beyond to ensure that consumers are protected at all times.)
1. 人々が楽しく、関心を持ってくれることで口コミは生まれます。
(Happy, interested people will say good things about you.)
言葉通りです。この考え方を理解し取り組めば、口コミマーケターとして成功するでしょう。
(It’s doesn’t take much more than that. Understand this concept, devote yourself to it, and you will be a successful word of mouth marketer.)
2. 正直で本当の意見こそが、私たちのメディアです。
(Honest, genuine opinion is our medium.)
人々が何を、どのように話すかについて指示しません。自由に自分の意見を述べ、自由に自分の言葉で共有できること。それが確固たる信念です。自然な口コミの会話をサポートする際に、決して歪めることがないように十分な注意を払います。
(We don't tell people what to say or how to say it. We fundamentally believe that people should be free to form their own opinions and share them in their own words. While supporting the natural conversation, we take great care to ensure that we do not distort it.)
3. 口コミマーケターは、情報共有をサポートします。
(We start, support, and simplify the sharing.)
口コミマーケターは、創造的な手法でコミュニケーションを促進します。対話をより容易にし、話題を提供し、アイディアを共有するコミュニティーを作り、必要な相手を見付け出します。伝統的な広告はアイディアを消費者にプッシュします。口コミマーケターは自然発生的に良いアイディアが人々に届くことを手助けします。
(Word of mouth marketers use creative techniques to encourage communications. We make it easier for people to talk to each other, we create interesting things to talk about, we create communities to share ideas, and we work to find the right people who should know about what we do. Traditional advertising pushes ideas on consumers. We help naturally occurring good ideas move around.)
4. ヤラセは口コミではありません。
(Word of mouth cannot be faked.)
詐欺、スパイ行為、不正、サクラなど、消費者や口コミの会話を故意に操ろうとするのは悪い行為です。誠実なマーケターは決してヤラセに手を出すことはありませんし、もしヤラセを試そうとすれば捕まってしまうでしょう。低俗な行動や態度は公の下に晒され、手ひどいしっぺ返しを食らうでしょう。
(Deception, infiltration, dishonesty, shilling, and other attempts to manipulate consumers or the conversation are bad. Honest marketers do not do this, will not do this, and will get caught if they try. Sleazy behavior will be exposed by the public and backfire horribly on anyone who attempts it.)
5. 口コミマーケティングは、消費者の力を増大します。
(Word of mouth marketing empowers the consumer.)
製品の利用者である消費者とマーケターの間に、新しく、より健全な関係性を築くための条件を決めるのは消費者です。消費者が要求するのは、満足、敬意、素晴らしい製品やサービスです。これらを企業が届ければ、人々はそのことを友達に話してくれます。口コミマーケターは攻撃的な広告に代わり、顧客中心のサービス、サポート、そしてオープンなコミュニケーションによってこのプロセスを加速します。
(Consumers have control, and they dictate the terms of a new, healthier relationship between marketers and the people who use their products. Consumers demand satisfaction, respect, and great products and services. When companies deliver, people will tell their friends. Word of mouth marketers work to accelerate this process, replacing aggressive advertising with customer-centric service, support, and open communications.)訳(Ver.1.0): by 渡邊明生 & 藤代裕之
読んで見て思うことは、とにもかくにも消費者中心主義が貫かれているということです。口コミは消費者のものであり、ヤラセなどで作り出す事が出来ないことを明確に示し、マーケターの役割は口コミを支援して広げる「お手伝いをする立場」と位置付けています(考えて見れば当たり前のことかもしれませんが)。
また、規定は定期的にレビューして更新していくということが「WOMMA Code of Conduct」に書かれているのもインターネット的です。一度決まったことを守る、もしくは誰かに決めてもらう、というのではなく自分たちで考え、修正していくプロセスが口コミのプラクティスだという考えは渡邊さん同様、非常に印象的でした。
WOMJ設立準備会の次回の研究会(19日)では、WOMマーケティングにおける課題抽出と解決を行うためにガイドラインを策定することにしています(ガイドラインを作るのは手段で課題を洗い出すのが目的です)。申し込みには世話人も課題を提出する必要があるので、WOMMAの事例を参考にしつつ「健全なWOM(クチコミ)マーケティングの支障となっているもの」と「課題を解決するためのガイドライン」を考えてみたいと思います。
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