ガ島通信

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経済同友会「安倍政権の実績と新政権公約の評価−評価・検証可能なマニフェスト・サイクルの構築を−」

企業経営ではPDCAを重視している。そのためには、プランが実績を評価できるものになっているか。チェック、アクションを次のプランにどういう風に盛り込むかが重要。その点では、評価しくいマニュフェストだとつくづく感じた。評価しやすい、政策項目自体が測定可能な政策になっているのが大事になる。
「安倍内閣の政権運営に関する実績評価」は60点。財政債権、公的部門改革、地方分権など、小泉政権を引き継いで、成果が上がっている。同時に、近隣諸国との関係改善、教育再生など独自の課題も着実に進めている。社会保障制度の一体改革、方針や達成時期の変更があったが、説明が十分に行われていない。政治主導体制の仕組みと運用は、責任所在の明確化、透明性は高く評価したい。一方、一部官僚の言動など、政策決定、実行に遅延が生じたのは遺憾。「政策実績」は65点。参院選の正式な政権公約が出ていなかったので、資料を基に評価した。

自民党の公約に関する総合評価60点。小泉政権を引き継ぐ政策を随所におりこみながら、全体として安部政権としての特色を明確にするという姿勢が明確。政策の達成レベルや時期が抽象的。幅広い政策課題で、政策大綱、閣議決定文書などがとりまとめられているが、目標を可能かな限り明確に示すことを望みたい。
残念な点の一つは、「社会制度改革の一体的見直し」と言う政策課題が見当たらない。
05年のマニュフェスト、安部首相の公約でも明記されていた。明確な説明を期待する。

公明党は35点。社会制度改革、ODAの外交政策は詳細で具体的に記述しているのは評価したいが、方向性がない。

民主党は40点。政治改革や財政改革は踏み込んだ提案をしている。年金は具体的な制度設計を示している。ただし、全体的には衆院選挙の前に比較して、政策内容や目標の具体性が低下している。幅広い分野に問題提起や個別施策が提示されるにとどまっており、民主が考える次の内閣の姿を理解することが難しかった。このあたりの提示が不可欠となる。

マニュフェストを軸にした政党政治のために、政党の皆さんもしっかりとPDCAをまわしてほしい。そのためには、政策の内容を必ず公約として実施する必要がある。日本の政治、成長も明確な確実性のあるものになる。難しいけれど、それを実現した政党は評価される。