「グーグル Google 既存のビジネスを破壊する」佐々木俊尚
ブログ界でも話題になっているジャーナリスト・佐々木俊尚さんの新刊「グーグル Google 既存のビジネスを破壊する」が手元に届きました。通常より大きな帯には「Google 破壊者か、全能の神か」とあり、ヤフーのネット天下はいつまで続くのか? 活字媒体の新聞・雑誌は生き残れるのか? などとあります。
ふむ、ふむ。「あれだけブログやハテブで話題になっているんだし、チラっとだけ」。ページをめくる。章立てを見ると「すべてを破壊していく」「すべてを凌駕していく」「すべてを再生していく」「すべてを発信していく」「すべてを選別していく」「すべてを支配していく」。各章の扉は検索窓を模したデザイン。結局、読み出したら止まらず一気に最後まで読んでしまいました。
検索連動型広告、ロングテール、そしてグーグル八分(アドセンスのアカウント剥奪に対して「アンタ一体なにが望みなんだよ」などとグーグルの社員が悪態をついた例も紹介されている。などと書いたら、グーグル八分されそうですが…)、中国での対応、など、具体的なエピソードを示しながら分かりやすく説明されていきます。監視社会とのかかわりや「邪悪にならない」というグーグルのモットーを無邪気に信じていいのか(以前に書いた「ネットメディアは無免許運転の暴走車なのかもしれない」もご参考に)という部分は、グーグルの関係者やエンジニアへの直接取材があまりないせいかやや観念的ですが、起こりうる「未来の可能性」を示してくれています。
グーグルはすべてを飲み込み、インターネットという世界で生み出された新しい秩序の「神」になるのか? その判断は読者それぞれでしょう。そして起こりうる事態を想定しつつ、それに対して私たちはどうすればいいのか(どうしようもできないのかもしれないが)は、ぜひどこかで議論したいところです。
以前から思っていることですが、グーグルだけでなく、ポータルサイト、検索エンジン(検索結果など)、検索連動型広告、様々なインターネットのサービスの影響力が大きくなってきた今、社会制度だけでなく人間一人ひとりのリアルな現実との摩擦がいよいよ本格化するということなのでしょう(以前からいろいろな摩擦はあった)。インターネットサービスをツールだと考えている人も多いかもしれませんが、既にそれは影響力のあるメディアなのです。そしてその影響力、メディアパワーはますます強くなっている。
これからは、好むと好まざるにかかわらず、様々な問題が起きていく。グーグルが沈黙を貫こうとしても不可能になるでしょう。そのとき「神」がどう行動するのかも興味深いところです。
#皆さんも薦めていますが以下の本も同時に読んでおきたいところです。

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