ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

自民党の「第2回メルマガ・ブログ作者との懇談会」に行ってきた

自民党側の出席者は、中川秀直政調会長(内閣改造にともない与謝野氏から変更)、根本匠広報本部長、そして世耕弘成広報本部長代理です。参加者の同意を取って後から配られた名簿を見たところ、35のメルマガ・ブログ作者が参加していたようです。結構平均年齢が高そうに見えました。。。

各ブログで懇談の模様がアップされるでしょうから、私の質問と個人的に気になったやりとりを書いておきます。
30人もいれば、いろいろな質問が出る事が予想されたので、ピンポイントで質問しました。地すべり的大勝と言われた衆議院選挙の広報戦略と政治報道についてです。ただし、私の質問した時点では、中川、根元両氏はすでに退席していました。

具体的には「小泉劇場は自民党広報本部の演出なのか、マスコミが作り上げたものなのか」「小泉首相は選挙中から政策への転換を主張していたと記憶しているが、自民党は本当に政策で勝負するつもりがあるのか。いま、多くの質問や要望が参加者から出ているのは、自民党をやっていることが伝わっていないからではないか。ただ、自民党の動きの8から9割はマスコミによって伝わっている。しかし、マスコミは政局報道しか出来ない。このようなマスコミをどう思っているのか(もう少しまとまらない感だった気がする)」の2つ。

これに対し、世耕議員は『小泉劇場はマスコミが作り上げたもの。小泉さんは天才、特に言葉に関しては、なので(広報本部が)触れないし、機嫌が悪くなる。だから入閣できなかったのかな(笑)』『(NTT広報の経験から)経済部と政治部は全くやり方が違う。経済部は裏取りをする。役員や大株主、監督官庁、取引先、それらに聞いて(事実関係を)固めたうえで、紙面に載せ、スクープにする。政界は、杉村(太蔵議員)さんでもニュースになる。新入社員が会社の入り口で話したことがニュースになってしまう。いい悪いは別にして、イージーに、相当いい加減に紙面づくりしている。それに、政策はテレビがまともに取り上げてくれない。障害者自立支援法案でも…、細かな部分は報道してくれないからテレビ頼っていると無理だ。だからネットの皆さんと深く話したい。そして、本当はこうなんだというのを伝えて行きたい』と回答。

もちろん、世耕議員の言葉を額面どおり受け止めるつもりはありません。やはり、世耕議員がPR会社やスタッフと一緒になって進めていた広報戦略に、マスコミがうまく踊らされたという側面もあり、マスコミが勝手に作り上げたということにはならないでしょう。ただ、マスコミ側が踊らされたと反省しているかどうかは微妙ですが…

この話題に関心がある方は、R30さんも寄稿している論座11月号「メディアの敗北」をご覧ください。

気になった質問は
ネットコミュニケーションの視点の徳力さんの「総選挙でのしかけの成功例と大変だった事例」
『何もやっていない。NTTの広報であれば新入社員レベル。テレビをモニターしたり、新聞をスクラップしたり。あと、自民党には国民の声という電話があるんですが、民主は留守電ですよね、4,5人の嘱託の方が誠実に対応してくれているんですが、それを回覧するだけじゃなくて候補者にフィードバック。髪形についての意見を伝えたこともありました。失敗はマニフェストの作り方。部会から上げてきたものを使ってしまった。要約版を竹中さんと作ったんですが、これが評判が悪かった…』(世耕)

サイバーエージェントの方(ブログは良く分からなかったのですが、ブログリサーチの運営に関わっておられるようです)の「楽天・ライブドアの問題もあるが、ネット世界は参入障壁があまりないが、テレビは免許事業。本当に公共性があるのかなと思うこともある、キー局をなぜ保護するのか」
『電波を使っている限り免許とは切っても、切り離せない。ただ、一回とっちゃうとずっともっていることができる。こういうこと言うと、自民党が…という話になるので微妙だが、5年に1回ぐらいはチェックがあってもいいと思っている。BSなどにしても入札やコンペがあってもよかった、地上波デジタルも既存の局ばかりだ。しかし、憲法でも報道の自由があるから触り難い』(世耕)

バイクジャーナリスト小林ゆきさんの「二輪車のETCを進めてほしい。ハイウエイカードなどが廃止され、二輪には割引がない。同じ道路を使っているのに四輪と二輪に格差があるのはおかしい。二輪車の駐車場が少なすぎる。都内には登録台数の0.16%分の駐車場しかないが…」
『ETCは推進したい。駐車場については、法律は規制だから…(かなり聞き漏らした)』
実は以前からちょくちょく見ていたブログです。大変勉強されているなという印象を受けました。

参加者から、要望、質問が次々と出て、「まるで選挙区での陳情のようで残念」「個別のテーマを決めて話し合ったらどうか」「位置づけが良く分からない」という意見も出ました。それに対して世耕議員は、開催理由を「一番は自民党はとっつきにくいと思われているのをどうにかしたい」と話し、運営方針については「手探りでやっています」と繰り返していました。この懇談会は、どのようなものになるかは分かりませんが、さらに継続して行われるようです。

世耕議員は、相手の立場に立って考えれる人という印象。これは、簡単なようで実は難しい。だからそれぞれのバックボーンにあわせた「もてなし」が可能なのでしょう。自民党の広報戦略、政党の広報戦略、そして結党50年にあわせて立ち上げるというシンクタンクにも注目していきたいと思います(2日も広報学会が開く世耕議員の講演「当事者が証言する自民党の選挙公報(課題)」を見に行く予定です)。

・いずれもメモのみで作成。レコーダーを使っていないので若干違うところもあるかもしれませんがご容赦ください。

・自民との懇談会ではサンドイッチが出ましたが、「弁当問題」論争をチェックしていた世耕議員から「皆さんがよろしければ出したいのですが、実費を支払っていただいてもいいですし、食べれないと言う方はおっしゃってください」との話があり、誰からともなく賛同の拍手があったため配られました。私はお断りしましたが、実費を支払った方、食べた方、さまざまだったようです。

・ここからどうでもいいこと(マスコミ的に言えば政局報道)
ちなみに写真は取材する記者たち。中川政調会長が話しているときにガムをかんでいる記者がいました(別にかまわないが、いい感じはしない)。泉さんは、前日の民主党懇談会での「ロッテの選手は試合中ガムをかんでいなければいけないそうです」という前原代表発言を受けたものだったら面白いといっていましたが、そんなことはないと思われ…。

中川政調会長は、話すときに靴を脱ぐのはやめたほうがいい。だらしない印象を受けました。

「メルマガ・ブログ作者と党幹部との懇談会」事務局からのメールの送信者表記が「1」になっています。スパムかと思ってしまいました…