ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

写真を撮るということは前を向いて生きるということ 写真展「大槌の宝箱」開催にあたって

「町の人々の想いが伝わってくるような熱いものがある」「何気ない日常をいとおしむ人たちの気持ちが表れて心を打つ」といった感想を頂いている写真展「大槌の宝箱」。
大槌みらい新聞」が主催し、大槌のおじいちゃんやおばあちゃんたちが身近で大切な物や人を撮影した写真やお茶っこなどのイベントを行っています。大槌、東京の2会場は既に終了。横浜のさくらWORKS<関内>で開催中です。

実は写真展の企画が最初に持ち上がった時に「もっと他にやることがあるのでは?」と一旦ストップしたのは内緒です。新たなメディアの立ち上げ、町内全戸をカバーする紙の新聞の取材、印刷、配布、フェイスブックページの運用、情報発信のワークショップなど、取り組むことが山積していたので、優先順位が低いように思ってしまったのです。
しかし、大槌みらい新聞は、メディアを創ると同時に、情報発信者を増やして、地域を盛り上げていくというミッションを掲げています。大槌の方から出た声を応援することこそ、本来の姿ではないかと考え直し、クラウドファンディングREADYFOR?で活動費を募集することにしたのです。
写真展につながった大槌みらい新聞の情報発信ワークショップは、60回以上、延べ400人が参加してくれていますが、一番最初はゼロ人でした。ソーシャルメディアや記事のワークショップは難し過ぎると敬遠されたため、考えついたのが携帯電話を使ったカメラのワークショップでした。
とにかく、簡単に楽しく、という。笑顔を撮影して、その場でプリントアウトすると、とても喜んでくれて「これで葬式に飾る写真が出来た」と言われた時には、笑うに笑えず、どういう顔をしたらいいのか、困ってしましましたが、60%の住宅が何らかの被害を受けた大槌では、住んでいた自宅、家財、そして思い出の詰まった写真も流されてしまったという人も多く、自分の写真すらないという現実を知らされました。

ワークショップを重ねるにつれて「これからも写真を撮ってみたい」「カメラを買いたい」という声が出て、現地責任者の松本さんがアマゾンで代わりに購入して届けたりもしています。
READYFOR?の説明(参考:おばあちゃん達の「宝物」を集めた写真展「大槌の宝箱」を開催)にも書かれていますが、写真を撮るということは前を向いて生きるということ。明日がある、何かを残したいと思うから撮るのだなということにも気づかされたのです。

東日本大震災から2年目ということで、震災当時の写真を展示する催しもありますが、「大槌の宝箱」は身近で素朴な写真を通じて、被災や仮説住宅での苦労、その中にある楽しさというものがにじみ出て、今の大槌の暮らしを知ってもらえるものになったと思います。記者としての立場を考えると、インパクトがある象徴的な写真を、と考えるのですが(それも被災地を伝えるために意味ある写真と思います)、改めてニュースというのは身の回りにあると考えさせられました。そして、これは日々の記録、ジャーナリズム活動なのだ、とも。

写真展は20日まで。ぜひ会場に足を運んでください。会場への地図やイベント情報などはこちらから

3月1日から5日までは大槌のショッピングセンター「マスト」で開催。NTT東日本岩手支店の皆さんが、 連日サポートしてくれました。

これまでフィスブックページに掲載してきたニュースを町の人に読んでもらい収録する「アナウンサー体験」を実施しました。

立命館大学の奥村信幸先生に大槌まで来て映像のワークショップを開いてもらいました。マストで2回、仮説住宅で1回。小さな種をまいてくれました。

3月8日から11日までは東京目黒のギャラリー「やさしい予感」さんの協力で開催。素敵な会場でした。

横浜のさくらWORKS<関内>はまた違った雰囲気です。撮影者のおばあちゃんと話せるお茶っこは大人気。

大槌駅前あるNTT局舎に備え付けられたカメラからフレッツ回線を通して大槌を生中継しています。大槌の知り合いに電話してカメラ前で手を振ってもらう方もいました。

写真展を担当したJCEJの学生運営委員の庄司君が取材に応じているところ。写真展は本当に多くのメディアに取り上げて頂きました。

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