ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

READYFOR?目標達成 「大槌みらい新聞」の活動を継続的にするために

READYFOR?の「津波被害で『沈黙した町』岩手県大槌に地域メディアを創る」プロジェクトへの支援が目標150万円を突破しました。多くの皆様の支援に厚くお礼申し上げます。10月1日まで引き続き受け付けていますので、さらなる支援をよろしく願いします。ちょうど「NewsLab♡おおつち」を開設して約1カ月が経過したタイミングでもあり、振り返りと今後について説明したいと思います。

プロジェクトの費用ですが、大槌に常駐している現地責任者でREADYFOR?の実施者でもある松本さんの活動費を三菱商事の復興助成で来年3月末まで手当できています。それ以外は、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)及び、各運営委員による持ち出し、支援者による寄付でカバーしており、READYFOR?の支援は本当にありがたいです。

活動ですが、「NewsLab♡おおつち」を7月30日に開設してから、地域メディア設立にむけた状況の調査、「大槌みらい新聞」創刊準備号のための取材、準備号の配布と変化してきました。8月15日に創刊準備号を発行し、今は9月15日の創刊に向けて動いています。色々な課題にぶつかりながらも、スケジュール通り進んでいるのは、なんといっても学生チームの頑張りが大きいです。
お盆を過ぎたら涼しくなると言われる大槌ですが、連日30度を超えています。暑さやにわか雨に負けず、自転車で汗だくになりながら走り回っています。拠点として利用させてもらっている「きらりベース」はお風呂やシャワーの施設がないため、隣の山田町のお風呂を利用していますが、活動によっては行けない日もあります。さらに夜は網戸がない教室で虫との戦いが待っていますが、レポーター募集や「町民カレンダー」の撮影、を町民1人ひとりに呼び掛けています。

さらに、地域に根ざしたメディアを目指して大槌の方にメディアづくりに関わってもらおうと試行錯誤しているところです。学生の行動力、瞬発力を生かして町民カレンダーやイベント情報、地域のニュースなどの情報収集作業を定型化して、町の方にも取り組んでもらい、持続的に活動できる仕組みを整えようとしています。カメラ撮影のワークショップなども実施する予定です。
仮設住宅ではソーシャルメディアの利用は低く、スマートフォンの所有者も少ないので、学生も戸惑っているようですが、各仮設に配置されていながらあまり使われていないPCを上手く使いたいというアイデアも出ていました。学生インターンは9月の3連休までですが、READYFOR?で支援いただいた資金で、長期の学生インターンを採用して町の人との活動をサポートしようと考えています。
逆に言えば、READYFOR?の目標が達成しなければ(まだ成立はしてません)松本さん一人となり、大幅に活動が縮小するところでした。READYFOR?はプロジェクトにとって背水の陣で、祈るように毎日確認していました。

もうひとつ大きなのが活動拠点です。「NewsLab♡おおつち」名物となりつつある、電気スタンドひとつの夜作業と段ボールデスクですが、当初とまったく変わっていません。

きらりベースは、電気やインターネット回線の工事で施設に手を加える事ができません。また、ボランティアの宿泊拠点なので、東京とのハングアウトミーティングやブログ執筆といった夜の活動が、他の利用者の皆さんにご迷惑かけることもあり、心苦しい状態です。日中は朝から町に出ているので、夜の作業時間は必要です。
このような状況を改善するために、活動拠点を探しているのですが、60%近くの家が失われたとされる大槌で、取材に便利な空き家を探すのは想像を絶するほどに厳しいです。一軒家がひとつあったのですが、残念なことに借り主とトラブルがあるということで見送りとなり、なんとか役場近くに借りる事ができる土地を2つほど見つけることができました。
多くの方が亡くなられ、約1.5メートルのかさ上げが予定されているエリアです。被災した家屋の土台も残り、整地もしなければならないのですが、ここに活動拠点を設けることができれば、大槌みらい新聞の活動がさらに前に進みます。そこで事務所に使えるプレハブやトレーラーハウスを探しています。

津波被害を受けた沿岸部ではプレハブの需要も高く、中古価格も高止まりしており、READYFOR?で支援いただいた資金では購入することは難しい状況です(READYFOR?での資金は、パソコンやプリンタ、カメラといった備品購入、印刷費、配布、ワークショップ開催、インターン活動費に利用する予定です)。企業や団体などで余剰のプレハブをお持ちの方がいらっしゃったら、ご支援頂けるとありがたいです。

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