読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「大槌みらい新聞」の創刊準備号を発行 学生チームが自転車で配布中です

「NewsLab♡おおつち」開設して約2週間。予定していた「大槌みらい新聞」の創刊準備号を15日に発行することができました。ウェブサイト(β版)も同時にオープンです。活動を支え応援してくれている皆さんのおかげです。ありがとうございます。
大槌では学生チームが自転車で町内をまわり、町の人々の話しを聞きながら一人ひとり手渡しで配布しています。

トップは甲子園のヒーロー
創刊準備号のトップは、夏の甲子園始球式で捕手を務めた大槌高校野球部の金野利也選手のインタビューです。
金野選手は釜石市の自宅が流され家族をなくし、子供時代から投手だったのが捕手へのコンバートもあり、と苦難がありましたが仲間や監督の支えで野球に打ち込み、大槌高は岩手県大会で13年ぶりのベスト8入りを果たしたのでした。たった一球の始球式のストーリーを松本さんが執筆してくれています。写真はカメラマンの門谷さんです。

ウェブサイトには津波証言が2本。JCEJ運営委員でもある田中さんの「私ら結局、遅かった。もっと危機感がすごくあれば」は本当に読んでもらいたい1本です。生々しすぎて読みたくないという人もいるかもしれません。それぐらい厳しいことを詳細にお話頂いています。
私も「山さ逃げた。津波を後ろにして逃げたんだ」という記事を書きました。私たちは伝える事しかできないかもしれないけれど、この活動が必ず次に繋がると信じています。

なるべく町の人の顔を紹介しよう
紙面には「町民カレンダー」というコーナーを作りました。
これは学生が行った調査が反映されています。仮設住宅の高齢者を中心に津波で廃刊になった岩手東海新聞を購読していたので身近な情報が少なくなっています。また、プライバシー保護もあって「近所の人や知り合いがどの仮設に住んでいるか知らない」といった声もありました。そこで、町の人をなるべく紙面に掲載しています。

当初は「復興へのメッセージ」のようなものを考えていたのですが、役に立つ情報であることを考えた時に、町内のイベントを紹介してもらうというアイデアが浮かびました。配布した学生によると「この人知っている。元気にしてるんだね」とコミュニケーションが生まれていたようです。大槌の学生チームが写真撮影を行い、紙面レイアウトは東京の学生インターンが担当しています。
紙面はウェブサイトからダウンロードできます

ソーシャルファーストという考え
紙は印刷と配布にコストがかかります。大槌と外をつなぐ役割だけでなく、ラボの活動リソース(人やお金)を考えると必然的にソーシャルとウェブを使わざるを得ないのです。
そこで、ラボの取材活動はFacebookページ(NewsLabOtsuchi)にまず掲載。郷土芸能やお祭り、漁や食べ物など、日々のニュースや町の出来事を写真を中心に紹介しています。Facebookを使うことで、紙ではリーチできない、町内の若者、他地域に住む出身者、ボランティアで大槌を訪れた人や支援活動を行なっている人などに情報を届けることができるし、反応から新たなニュースを発見することもできます。
まずソーシャルメディアに出して、反応がよかったものを取材で深掘りしてウェブサイトに掲載し、さらに厳選して紙に掲載していくというフローになっています。スピードと情報の量は、ソーシャルメディア>ウェブサイト>紙、と新聞社とはまったく逆。どんなに速報やソーシャルメディアに力を入れても紙があるために記事や社内体制に制約がありますが、「大槌みらい新聞」にとっては紙は一つの伝達手段でしかありません。

伝わるように工夫する
「いい記事を書けばよい」「取材で忙しい」。現場で活動していると記者に限らず学生チームも思いがちです。コンテンツの中身が重要なのはもちろんですが、読者に伝わっているかまで考えなければ意味はありません。日々の打ち合わせでは、自分や仲間の記事をシェアやツイートして広げ、どんな反応があるかも確認すること、と言うのですがなかなか難しいようです。
津波証言の記事はウェブサイトの特徴を生かして、テキストの間に写真を挟み込むことで、どこで被害に遭い、その現場がいまどうなっているかを、位置関係なども分かるように工夫しています。新聞の記事は文章が中心で写真は1枚で、レイアウトも整理部が担当してくれまが、「大槌みらい新聞」では記者もウェブサイトを確認し、どう工夫したらもっと読者に伝わるのか考えてもらうようにしています。
書いたら終わりではなく、記事の広がりや反応を確認するのは、書き手の責任でもあります。

■「NewsLab♡おおつち」の環境
ブログでは繰り返しとなるのですが、活動の拠点であるラボは電気はデスクランプ一つ。ネット環境もつながったり、つながらなかったりと厳しい状況です。これから新聞を継続的に発行できる体制を作っていく予定です。

プロジェクトを進めるためにクラウドファンディングREADYFORで支援を募っています。津波被害で「沈黙した町」岩手県大槌に地域メディアを創る。ご支援頂いた方には「大槌みらい新聞」をお送りします。地域のメディアを支えて頂けるとありがたいです。よろしくお願いします。

【関連エントリー】

【お知らせ】

  • 8月18日14時から東京豊洲区民館で「みんなで考える、東京から大槌へ伝わるニュース」と題した中間報告とワークショップを行います。参加希望の方はFacebookのイベントに「参加」表明をお願いします