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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「セカンドキャリアへの不安、システムで分け合う」神事真規子さんインタビューvol.4

Jschool

この記事は藤代が担当する早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース「ニューズルームJ」の学生が執筆しています。神事真規子さん(@makikojinji)の協力を得てインタビューを行い(参考:ソーシャルメディアを活用して取材相手の情報を集める)、筆者の伝えたいことと神事さんのエピソード、インターネットで探したデータを組み合わせて6段落で仕上げたものです。タイトルや文章は学生が提出したままの状態です。この原稿が最後です。

華やかなスポーツ界で活躍しているトップアスリートは、名誉と富をも手にしたスーパースターとして、誰もが憧れる存在といえるだろう。だが、アスリートは、短い現役寿命とセカンドキャリアに頭を悩まされている。吉田章氏他、筑波大学の研究員らが作成した論文によると、発掘・育成・強化3段階の競技者養成システムは、競技能力開発には有効性を有するが、引退後の長期的なライフモデルに大きな問題を生み出す可能性があると指摘する。

元女子バスケットボール(WJBL)選手の神事真規子さんは、高校バスケの名門名古屋短大附属高校を出て、大和証券、三菱電機所属として実業団リーグで約6年間活躍し、その後25才という若さで引退する。引退後OLとして働くが、その後短大に入り、卒業と同時に栄養士の資格を取得する。「いきなり無一文になって大学に行き、一回り下の子たちと一緒に机を並べて勉強するというのは覚悟が必要だった」と語る。

一見華やかに見える経歴だが、突然訪れた所属チームの休部と移籍、激しいスタメン競争と負傷、復帰と引退まで、その裏ではさまざまなプレッシャーとの戦いと選手としての苦悩があった。「引退を意識したときは?」という質問に「だんだん闘争心がなくなってくる、いったいこの気持ちは何なんだろう、このままコートに出ちゃいけないと思ってシーズン後引退を決心した」と語るその表情から、当時の心境が蘇ってくるようだ。

「燃え尽き症候群」とは特定の仕事や関心などに熱心に打ち込んだ後くる意欲の喪失、スポーツ界では最大の目標を失い、打ち込むことがなくなることから生じる虚脱感に襲われることを指す場合が多い。目立つ活躍をしたわけではないが、引退直前のシーズンで良い結果を残せた原因を聞くと「私の中では振り絞ってやった1年でした。素直に満足しちゃったので、もうボールは持たなくていいやと思ったんですね」と笑みながら答える神事さん。彼女もまた、燃え尽き症候群の体験者だったのだ。

そんな神事さんが選んだのは栄養士だった。幼い頃「牛乳貧血」という特殊な貧血で苦しんだ経験がきっかけだったらしく、ボランティア活動を通して子供の健康基礎づくりという考えを実践していた。だが、その栄養士の道は、彼女自身心底望んだ道だっただろうか。ボールは持たなくていいと思った彼女だが、結局、形は違うけどコートに戻り、ボールを持って走っている。

上記の研究は「競技種目ごとにピークパフォーマンス年齢は異なるものの、総じて若年齢化しており、全ての選手に必ず訪れる引退後の人生への対応について様々な機会と場面を考慮しながらどのような形で準備させるべきかが大きな課題となっている」と指摘する。アスリートの大半が競技以外の側面で引退後の生活に対する不安を抱えていることに対してどんな制度的補完システムを構築できるかが重要な課題となるだろう。

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