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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「京都大学サマーデザインスクール2011」に参加してきました

9月末「京都大学サマーデザインスクール2011」に参加してきました。参加者はテーマに分かれ、社会の実問題の解決に挑むというもの。「ソーシャルメディアのデザイン」の協力者として、ARGの岡本真さんとともに課題を提示し、ワークショップのサポートを行いました。

「デザインスクール」という言葉に、以前に東京大学のi.school人間中心イノベーション・ワークショップ「新聞の未来をつくる」を担当したこともあり(ブログに記事一覧があります)、どんなプログラムなのか興味を持って京都に向かいました。会場の京都リサーチパークKRP)のアトリウムには、ホワイトボードを区切りにして、デザインを考える地域の模型があったり、iPadを持った学生がいたり。情報学研究科、工学研究科(機械工学、建築学)、経営管理大学院と分野を超えて実施されていることが一目で分かります。担当の先生から「突き抜けてほしい」との挨拶があり、オリエンテーションを行うチームもあり、早速フィールドワークに出かけるチームもあり、初日から盛り上がりを見せていました。

「ソーシャルメディアのデザイン」チームは3つの課題、1)電子書籍の活性化、2)WikipediaやQAサイトの品質向上、3)ボランティアデータベースの利用促進に分かれて、議論をスタート。午前中はガイダンスと問題意識提示で終わり。午後からグループワーク。夕方に進捗を共有しました。課題はそれぞれ浮かび上がりましたが、企画者である田中教授からは「名前とキャッチフレーズを考えて」とのコメント。さらに、ソーシャルリーディングで電子書籍が活性化するという案には「リーディングとレビューは違うのか?」「どんな体験をデザインしているのか?」、2)には「専門家が書き込むといっても教授が使うメリットがない」、3)には「NPOは怪しい。地域のコミュニティは超閉鎖的だよね」など指摘をし合います。
2日目も議論が継続。時々メンバーをシャッフルして議論を活性化します。3日目は、午後から博物館で発表だったのでソーシャルメディアチームは朝9時に集合してプレゼンしたのですが、まとまってないのでやり直すことに。12時から3分のプレゼンをもう一度やってもらって、ギリギリで午後からの成果発表に望みました。
参加者が考えたのは、1)ソーシャルリーディングが体験できる電子書籍、2)フェイスブックと連動したWikipediaで書き込み貢献がフェイスブックへ反映、3)地域コミュニティを巻き込み感謝の手紙を取り込めるシステムで怪しさを打破、といったものでした。賞は取れませんでしたが、安易な解決策に走るのではなく、根本的な課題を見つめていたのは良かったと思います。
いくつか運営的に気付いた点をあげると…

  • アウトプット(なるべく現実的なものか、もっとアイデアを膨らますのか、分からなかった)
  • 合宿したい(大学のイベントなので午後6時にしっかりと終わるので学生が帰ってしまう。もっと詰めて、頭から煙を吹くような議論をしてもいいのではないだろうか)
  • 混ぜたい(せっかく隣で、日本文化とか街づくりとか面白そうなのをやっているので、各チームのアイデアを途中で混ぜたら、もっと創発が起きそう)
  • 発表会を工夫したい(発表は10分ちょっとのプレゼンが次々と展開されるので正直なところかなりつらい。3日ではプレゼンの質をこれ以上にするのは難しい…)

デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice)
デザインスクールでは、異なる分野のテーマが一同に議論されていたり、ワークショップと平行して講義が行われていて興味があれば参加できたり、一斉にカフェタイムがあって交流できるようになっていたり、随所に工夫がなされていました。博物館での発表は「生きた展示」となり、ミュージアムショップに立ち寄った高校生がプレゼンを見たりしていました。運営準備に関わった皆さんは大変だったと思います。おかげでとても刺激的な3日間を過ごすことができました、ありがとうございました。
デザインやデザイン思考といったキーワードは最近聞くようになりました。自分もi.schoolに関わるまではあまり良く知りませんでしたが、興味を持った方は、デザイン・ファームIDEOの社長兼CEOのティム・ブラウンが書いた『デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方』を読んでみてはどうでしょうか。
サマーデザインスクールは入り口です。本を読んでエッセンスを理解し、実践する。実践と言っても授業や会社のプロジェクトに限りません。通学や通勤のとき、街に遊びにいったとき、日々ちょっとしたところで「こう工夫したら便利になるのに」と考えるのが大切です。