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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

取材は裏切られることの連続 ジャーナリストキャンプ2011飯南最終日

JCEJ

「ジャーナリストキャンプ2011飯南」の最終日。当初の予定では企画の発表に当てられていたのですが、「まだ取材したい」という参加者がいたため朝食後の約2時間を取材に当てることになりました。午前10時から執筆する企画のタイトルと概要の発表とキャンプの振り返りが行われました。発表は大型のポストイットにタイトルと小見出しを書くスタイルで行われました。

限界集落の夫婦ビジネス」というタイトルにした参加者は、「最初は高齢者夫婦の人生の物語だと思って取材していたが、おじいさんのやってきたことの歴史や意地を取り入れて、何をしなければいけなかったのか、という話になってきた」と発表。
2010年に竣工した志津見ダムによって集団移転したコミュニティを取材した参加者は「ダムをつくって移転させられる住民は被害者と思っていたが、そうではなかった。取材は裏切られることの連続だった。人は強いし、諦めて前に進むという面も聞けたが、たくさん話を聞いて正直分からなくなってきた」と悩んでいる報告も。
議論では「きれいに構成され過ぎて、読者に残らないのではないか。あまり媒体にとらわれずやったほうがいい」という意見や「地域の問題に終わることなく、他地域の読者もなるほどと思うようなものに」「取材はあくまで入り口。単なるインタビューに終わらないように」という注文もありました。
この後、参加者と事務局、飯南町職員、飯南高校の生徒らによって企画に投票が行われ、「経済成長のあと」が1位に選ばれました。最初は「10年後の暮らしを守れるか」というタイトルで取材をしていましたが、町が運営するデマンドバスを使っている人を探して訪ねたところ、高度成長期に全国の建設現場をまわっていた話を聞き、人を通した日本の姿を浮かび上がらせようとする意欲的な企画になりそうなことが評価につながりました。一方で、1票も入らなかった参加者からは「正直悔しい。この気持ちを大事にしたい」との感想もありました。
振り返りでは「新聞だと絶対没というテーマが結構あるが、取りこぼしていていいのかな、と思う。読ませる価値のあるものがある。新聞は取りこぼしていていいのか」「このキャンプどんなものになるのかわからなかったので不安だった。徹夜で原稿にダメだしされると聞いて、カウンターのお姉さんに欠航しませんか?と聞いたほど(私の乗った飛行機が3時間遅れたため)」「主観を大切に、結論を出さなくていい、は普段と逆で新しい発見が多くあった」。

記者ではない参加者からは「記者のすごさを感じた。問題意識、いろんな視点で見たり、ものごとを表層的に見るのではなく深く見ることができる。人を見ることの楽しさ、風景を改めて見るといろんなものが見える。当たり前が新鮮に感じられるようになった」。密着していた飯南高校報道部員から「一つのことに、何個も見る。見方が全然変わってくる。こっちから見ると、こう伝わるが、こっちから見ると別。地元のことでも全然知らないことがあって、どっから持ってくるんだろう。情報収集力を見習わなければと思いました」「記事は書かないので、文章という枠と思っていたが、番組作りと同じように討論をしていて、高校生よりももっと深く追求して、そこまで突っ込むのか。見えてすごく得をした。これからの活動に生かしていきたい」とのコメントもありました。
多くの参加者が、実際に取材することで、キャンプスタート前に考えていた企画を揺さぶられ、自分の問題意識を問い直し、フォーカスを見直したり、構成を考え直したり、していたようでした。2日目夜の発表に比べて、深みを増した企画もあり、記事が楽しみになってきました。
参加者による記事は9月からJBpressで掲載される予定です。また、ジャーナリストキャンプ2011飯南の報告会が9月17日(土曜日)14時から開催されます。詳しくはフェイスブックのイベントページをご覧下さい。
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