ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

京都大学情報学科「情報と職業」という講義で話をしました

京都大学の田中克己先生からお声かけいただき、情報学科情報学科計算機科学コースと情報学研究科を対象にした講義「情報と職業」で話をしてきました。学習院や早稲田の非常勤以外にも、スポットで大学で話す事はあるのですが、ほとんどが文系で内容もジャーナリズムやソーシャルメディアの話。今回は「計算機科学」という数学が苦手な文系学生だった自分とは縁遠いコース、前のコマはウェアラブルコンピューティングで有名な神戸大学の塚本昌彦教授でした(スカウター装着してた!)。

タイトルは「研究と事業を行き来するということ」。NTT研究所出身で現在NTTコミュニケーションズにいる戸田浩之さんと一緒に、企業研究所と研究について(戸田さん)と研究をベースにしたサービス化や事業化やgooラボの事例(藤代)という役割分担で話を進めました。戸田さんとは2005年にgooに入ってラボを担当して初めて取り組んだ「BLOGRANGER」で知り合いました。その後、2006年に「BLOGRANGER 2.0」「ソーシャルニュース」「携帯動画パノラマ実験」、2007年に「BLOGRANGER TG」「携帯動画共有実験」、2008年に「ブログ通信簿」を担当しました。
ブログ通信簿はラボではヒット企画で、ブログのURLを入力するだけでプロフィールや影響度、通信欄が作られるというもので、シンプルに見えるのですが裏側に、文書属性推定、意見性判定、記事タグ推定、文書ドメイン判定といった10以上の技術を使っているというサービスです。
その後ラボからは遠ざかってましたが、昨年度からラボ担当に復帰し、2011年に入ってチームで「クチコミ要約」「QA.ON/OF」「Searchなび」「ぴったり国内ツアー検索β」「暗黙知通信」「ペチャクチャ検索」と出ています。
検索が多いのですが、要約や暗黙知のようなコミュニケーション実験にも分野を広げ、研究所だけでなく大学との共同実験(ペチャクチャは京都産業大学と。この後も慶応大学SFCとのサービスのリリースを予定)も取り組んでいる事を紹介しました。
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)
学生からは、大学時代に学んだ事と仕事の関係(私は、哲学科→新聞社→インターネット企業でニュース担当→ラボ担当&大学非常勤講師、戸田さんも材料工学をやっていてウェブ研究者→事業会社)やオススメの哲学書について質問がありました。戸田さんは研究所に入ってから博士課程に、私も修士課程で学んだこともあり2人ともが「分野が違っても興味をもってやれば最初は苦しいがやれる。また社会人になって学ぶ事はできる」という回答でした。
哲学書については、哲学と自然言語やオブジェクト認識の関係について触れたこともあり、学生が関心を持ってくれたのでしょう。古典中の古典であるプラトンの「ソクラテスの弁明・クリトン 」(岩波文庫)をすすめました。真理を突き詰めるソクラテスの姿勢は研究にも通じますし、無知の知は戒めでもあります。あと薄くて手に取り取りやすい(笑)
既に読んだ人は、デカルトの「省察」やフッサールの「デカルト的省察」はいかがでしょうか。デカルト押しではないのですが、聴講している学生の関心に近いかと…
講義の後は田中研究室メンバーによる研究紹介のショートプレゼン。レシピサイトなどを参考にしながら「典型的なカルボナーラとはどのように構成されているのか。どの材料にすればカルボナーラからクリームパスタに移動していくのか」といった研究は哲学的な要素を含み興味をそそられました。既にモックを作って動いているものも多く、gooラボ展開について議論を進めようと思います。大変充実した京都出張となりました。田中先生、研究室の皆様、聴講してくれた学生の皆さんありがとうございました。
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