ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

Wikileaksと創設者アサンジ氏を英雄視する危険性

2010年12月6-7日のツイートを再編集、参考に執筆しています。
Wikileaksの創設者アサンジ氏がイギリスで逮捕されました。一部のジャーナリストは「別件逮捕」としているようですが、なぜ現時点で別件とわかるのかも分からないのにそんな発言をしてしまうのでしょうか。Wikileaksとアサンジ氏に対して、ある種の英雄扱いや評価をしているジャーナリストや研究者がいることが少し不思議だという自分のツイートをまとめてあります。
ここでは外交文書や米軍機密を報じたことの事実ではなく、なぜ評価をするのかにポイントがあります。ツイートでも書いてありますが、私自身のWkileaksとアサンジ氏に大しては評価は保留、というよりむしろ評価することへアラートが鳴っています。

@fujisiro: Wikileaksのようなサイトで「何が」報じられているのか、よりも人にフォーカスがあたっているのが興味深い。マスメディア側に変な英雄視もあったり。少なくともスパイ小説的な演出の可能性も疑っておくべきなんじゃないかなあ
@fujisiro: ともかく、ウィキリークスへの変な評価やアサンジ氏への英雄視はいまのところ保留している。えらく評価したり、手配されている容疑が、陰謀だ的な意見が記者からけっこう出ていることにも驚いたり。まず疑うって基本じゃないか
@fujisiro: とりあえず英雄みたいに持ち上げて、流れが変わったら「化けの皮がはがれた」的にバッシングするのはお約束ってことなので、いまのうちにどの記者がウィキリークスにどんな評価をしているか確認しておいてもいいかもしれない
@fujisiro: マスコミの記者からいくつか問い合わせをもらうんだが、不思議なのは「内部告発」と銘打つと見方が変わって「日本でも国家機密とまではいかないけど、掲示板やファイル共有でネットに流れてましたよね」とか言うと、それは違う的な話をするのだ…本当の目的なんて分からないのでは
@fujisiro: 何かインパクトのあることをやっている人の主張を鵜呑みにして、後でバッシングするぐらいなら、その時に確認しようと思うのだ。せめて「違うかもしれない」と保留する言葉を添えておくべき。逆にインパクトがあることをやっている人が「面白いからですよ」とかいうと、バッシングなわけだが
@fujisiro: 騒ぎを起こすのが目的だが、何か社会の「正義」的な衣をまとっている場合、見極めが難しい。だがその可能性もあると考えるのか、そんなものは考慮しないのかによって、対応は変わってくる。ジャーナリストは、色々な可能性を考えておきたい
@fujisiro: 「本当の目的は何か」を探ろうと取材が殺到しても、もし目的などない場合、「本当は目的があるはず」と思えば、思うほど、相手の術中にハマる、という可能性もある。何でも、直接取材したらいいってもんでもない。
@fujisiro: 日本のマスメディアにある、一次情報や動機主義は、ある意味でコントロールしようと思えばたやすい。なるべくアクセスできないようにして、動機がそれらしいが、よくわからない、という状況にしておけばいいのだから
@fujisiro: 動機=いいことを言っておけば、たぶんインパクトがあることに正当性があるんじゃないかとの余談がマスコミによって与えられるが、「別に」とか「金儲け」などというと、行為がどうであれ「問題だ」とバッシングされるという不思議
@fujisiro: 目的を探ることが既にハマってるという可能性もあります。もう少し経過をみないと RT @masumind: wikileaksの目的はどうなんでしょうね。 RT @fujisiro: 「本当の目的は何か」を探ろうと取材が殺到しても、もし目的などない場合、「本当は目的があるはず」と
@fujisiro: 誰もが目的、動機に興味をもつんですが、実のところ「何の目的もなく」行動してることは結構あったりしませんか?そして行動の大小は人によって違う RT @masumind: wikileaksの目的はどうなんでしょうね
@fujisiro: 人はインパクトのある行動に「意味」を求める。意味がないと気持ち悪くなる。だからこそ、意味を真空にしておくと人が勝手に意味を与えてくれるのだ。
@fujisiro: まったくです。意味は後から付与される RT @gnsi_ismr: 動機なんて後からいかようにでも当人や周囲の手によって再構成できるものです。RT @fujisiro: 日本のマスメディアにある、一次情報や動機主義は、ある意味でコントロールしようと思えばたやすい
@fujisiro: RT @Bon0627: 正直なところ、受け手がそう信じたいだけで情報の真偽は二の次になりがちなように思います。単純に権力と対立している様に見えればそれが正しい、みたいな。実際対立項なのかどうかすら不明瞭ですが。情報は打ち出す側が好き勝手に取捨選択出来ます

Wikileaksをめぐる報道は海外から来る物が多いですが特にアメリカは国内問題で、報道するメディアも当事者であることは忘れてはいけないことです。誰しも自分に関わる都合の悪い情報は扱いや距離の取り方が難しい。日本のマスメディアにとっては、一次情報を流す、ある種の社会正義やジャーナリズムを標榜しているという点で当事者性を帯びており、それも頭に入れて報道を眺めると、別の側面が見えてくることもあるでしょう。