ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「ちゃんと欲しがる女だけ 欲しがられる女になれる」ルミネの広告で分かるオンナゴコロ?

学習院大学法学部政治学科の講義「メディアリテラシー −情報の受け手から発信者へ−」で、広告を題材に情報発信者の意図を読み解くという課題を出しました(参考:広告を題材に情報発信者の意図を読み解く)。
様々な広告を題材に議論し、学生からは「直接見た人に影響を与えるタイプもあるが、見た周りの人に影響を与えるタイプの広告もあり、面白い」「タバコや競馬のCMは悪いイメージを良くする。悪いイメージが広がりやすいとの意見がありましたが、メディアは悪い評価を良いイメージにつなげることもある」「広告にメッセージを持たせれば、持たせるほど分かりにくくなる」「企業にとってイメージはとても大切。イメージを転換させたり、強調させたりと、企業がイメージ戦略に取り組んでいる」といった意見がありました。
その中で、ルミネのCMについての分析で盛り上がったので紹介します。キャッチコピーは
「今日は別人みたいなんて 失礼しちゃうわ 嬉しいわ」

まず、面白かったのが、この広告を持ってきたのが男子学生だったということ。課題では、広告の受け手(ターゲット)は誰で、どう行動してほしいとクライアントが考えているのか、どこでそれが分かるのか、を考えてきてもらいましたが、学生の分析は…

  • ターゲット:恋する女子+オンナゴコロの真意を知りたい男子
  • 何をしてもらいたいか:ルミネで買い物をしてもらいたい
  • 理由:女子なら共感してしまう、なんかイイ言葉。その言葉がルミネで買い物をする動機付けになっている。男子にとってはオンナゴコロの真意が分かって興味深い。

というものでした。恋する女子も良かったのですが、オンナゴコロを知りたい男子というのも、なかなかのものです。
教室で聞いてみると「そのコピーを書いたポストカードをもらった事がある。毎シーズンもらえる」という声があり、挙手してもらうと女性学生のかなりの割合がルミネで買い物をしているようでした。それだけにこだわりがあるのか、「ターゲットはもっと若いです」「このキャッチが季節に合わなかったのでは?今のキャッチコピーは違います」「社会人だと失礼だと、スルーするイメージがあった」など。
ルミネは、人気のファッションブランドの導入や接客技術を競うコンテストの開催で従来の駅ビルイメージを脱却、西武が撤退した有楽町マリオンに出店する勢いがあること。入れ替えにからむBERGの立ち退き騒動、拡大するに伴っての画一化懸念といったビジネスや社会的な側面は知っていましたが、メインターゲットの女性にどれだけ浸透しているか、改めて感じる事になりました。これまでのキャッチコピーを見てみると。

「たったひとつの恋が欲しくて どれだけの涙をこぼしただろう。」
「一生懸命外見を磨いたら とっておきの内面が見えてくる。」
「カラダごと着がえたくなる時がある」
「可愛くならなきゃって思うのは ひとりぼっちじゃないってこと。」
「自分をもっと愛せるように まずはみんなに愛して欲しい」
「別人にはなれないから 自分を可愛くすればいい」
「運勢は生まれた日より 選んだ服で変わると思う」
「人肌恋しい季節だけ女はコートを着る。」

なるほど…オンナゴコロは分かりましたか?
これまでの広告はデジタルギャラリーから見ることが出来ます。最新のものはこちら。

「ちゃんと欲しがる女だけ 欲しがられる女になれる」。自分の教訓にしたいと思ったという学生のコメントもありました。