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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

WOMマーケティングのガイドラインを発表しました

「WOMマーケティングサミット2010」(主催:WOMマーケティング協議会)で、WOMマーケティングのガイドラインを発表しました。協議会に加入している法人・個人会員の有志延べ100人が、昨年10月から12月にかけて4回のディスカッションを行い、私は策定のプロジェクトリーダーとして案をまとめました。

ガイドラインは、関係性明示と社会啓発の2つの原則を示したシンプルなものです。ポイントは、依頼者と情報発信者の関係を明らかにすることで、消費者(読者、聞き手など情報の受け手)が判断できるようにすることです。WOMJの基本理念に「消費者の利益にならないものは、WOMマーケティングではない。消費者が正しく、多様な情報を得る権利を最大限尊重する。」と書いてある点をより明確に示したものです。
<WOMマーケティング活動ガイドライン>

  1. 関係性明示の原則:WOMマーケティング事業者は、どのような関係性において、WOMマーケティングが成立しているかについて、消費者が理解できるようにしなければならない。関係性とは、原則として金銭、物品、サービスの提供とする。
  2. 社会啓発の原則:WOMマーケティング事業者は、1が実現するように必要な啓発活動を行うとする。

趣旨も含めて、どのような意味があるのかCNETJapanの記事(モノもらったら明示を--口コミマーケティングのガイドラインを業界団体が策定)がまとまっていますのでご覧ください。記事のタイトルは「モノ」となっていますが、記事中には「金品でもサービスでも同じこと」としっかり書いて頂いてます。

また、MarkeZineの記事(WOMマーケティング協議会、「クチコミマーケティング」の基本理念を明確に示すガイドラインを発表)では、WOMJの考える口コミについても触れてもらっています。
基本理念には「自発的なものである。金銭で生み出されない。誰からも強要されず、発信者の自由意思が尊重される」とあり、PPP(ペイ・パー・ポスト)は明確に口コミではない位置付けとなっていますが、今回のガイドラインでは、金銭を得て記事を書いたことが消費者に理解できるように明記することが求められます(これは発表時に会場から質問もありました)。
ガイドラインに加えて3つのケースも発表しました。企業が有名人に献本する場合に書評を書く場合は『献本であると明記して下さい』と依頼したところ関係が明示された上で書評が紹介された、などです。
メディアは限定されておらず、企業が運営するコミュニティやマスメディアなどでも同じ扱いとなります。ですので、サミット前に出た産経新聞の記事(ブログで宣伝、「広告」明記を 口コミ広告業界がガイドライン)は範囲を狭く捕らえ過ぎています。
また、ケースは任意で依頼しているところがポイントです。物品やサービスと引き換えに情報発信を強制したものは口コミではありません。ただし、いくら任意性が確保されているとしても過度な物品やサービスの提供が行われた場合は「情報発信せざるを得ない」ということもあり自発性が疑われかねません。この点について依頼者と被依頼者の関係を示すことで、消費者が判断できるようにしています。
これは理事長の太田さんから報告があったアメリカの潮流「Non-Incentive & Talkable」というキーワードと同じ思想です。人々が話してくれるように知恵を絞るというのはクリエイティブな作業だし、マーケターの腕の見せ所ではないでしょうか。ガイドラインによって「Non-Incentive & Talkable」の流れが加速し、楽しく、ワクワクするような口コミマーケティングが広がることを期待します。
最後になりましたが、夜遅くまでディスカッションに加わり、まとめ作業に付き合っていただいたコアメンバーの濱田逸郎さん(江戸川大学教授)、山口浩さん(駒澤大学准教授)、岡本真さん(ARG)、片岡英彦さん、そして毎回熱心に議論に参加してくれた参加者の皆さん、本当にありがとうございました(PJの作業はすべてボランティアで行われました)。
ガイドラインは基本理念・ガイドラインは社会状況に応じてアップデート、見直されることになります。サミットの懇親会では、ガイドラインでは関係性をどこまで具体的に明示すべきかは書いていないので、事業者の取り組みを紹介したらどうかというアイデアも早速出ていました。ガイドラインに関わる組織は理事会で議論されるとのことですので、関心のある方は議論に加わっていただけると幸いです。
【各ニュースメディアでの掲載と関連エントリー】