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ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

朝日新聞のtwiiterでの特ダネ「つぶやき」に見る読者視点のなさと速報の危うさ

朝日新聞東京本社編集局(@asahi_tokyo)がツイッターで
http://twitter.com/asahi_tokyo/status/7597001217

朝刊の1面トップは「日航、上場廃止へ」。他紙が書いていなければ「特ダネ」となります。それではきょうはこのへんで、おやすみなさい!!!!!

とつぶやいています。翌日の朝刊の一面のネタを紹介したというのは、新聞業界のツイッターの取り組みとしては画期的で、これからも予告tweetが行われるようになるでしょう。考えれば当たり前だけれど、習慣や常識が壁になり出来ないことも多い中、業界の先陣を切った担当者のチャレンジはすばらしいと思います。

その上でいくつか気になったことがあります。まず、特ダネについて。
「他社が書いてなかったら」特ダネということは、他社が書いてたら特ダネにならないということでしょうか。インパクトのある、価値あるニュースであれば、他紙が書いていても特ダネになるはずです。そもそも、多くの読者が1紙か2紙(朝毎読と日経新聞、スポーツ紙とか)、場合によっては新聞を取ってないこともあります。いくら他社が書いていても、書いていなくても、読者が「特ダネだ!」と思わなければ意味がありません。新聞社の考える特ダネに読者視点がゼロであることも「バレて」しまのもツイッターの恐ろしさかもしれません。
朝日を購読しているツイッター利用者からは「翌朝読めるはずの記事を先に出したら購読している意味がない」という声も出るでしょう。いくら他社に比べていち早く速報して業界的には勝っても、商品を買ってもらっている有料購読者が不満を持てばビジネス的にはマイナスです(これも、読者や購読者視点のなさから来ているわけですが…)。
予告ツイッターが無意味と言っているわけではありません。速報性と140字しか書けない特性を利用して、翌朝の紙面を読めばさらによく分かる記事なっていれば既存読者も満足するはずですし、他紙購読者も駅やコンビニに買いに行くのではないでしょうか。問題なのは、つぶやき以上の内容がない場合です。
ネットの登場でニュースの時間軸が短くなる中、いずれ公式に分かること、つまり半歩先を書くためにリソースを突っ込むことの意味も考えないといけないでしょう。どの社も横並びで半歩先を書くためにリソースをつぎ込んでいるわけですが、そこははげしく競争が行われている(かつ読者にはあまり意識されない)レッドオーシャンでもあります。人々が知らない事象を掘り起こし、読者が「これは特ダネだ」と思ってこそ記事や紙面の商品の魅力がアップするわけで、他の会社が何をやってるかしか考えない業界は長くはないでしょう…
いずれにせよ、ネットと紙では、記事の消費される時間もバリューも変わってくる中で、ツイッターやウェブサイトでの速報と紙面をどう使い分け、商品を買ってもらうのか考えておかなければ、情報のダダ漏れで、さらにビジネス的に苦しくなるという悪循環を招くことになるでしょう。