ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

ツイッター・ジャーナリズム 浮かび上がる可能性と危うさ


朝日新聞社ジャーナリスト学校が発行している「Journalism(ジャーナリズム)」10月号に『ツイッター・ジャーナリズム 浮かび上がる可能性と危うさ』を寄稿しました。
衆院選の「当選なう」、アメリカやイランの大統領選の話など、ツイッターを巡る動きをざっとまとめ、プロのジャーナリストではなく市民や活動家、政治家による情報発信が、既存のメディアやジャーナリズムに影響を与える状況は後退する気配がないこと。当事者からの発信が強力な競合相手となること。それに、情報発信するユーザーもマスメディアに疑いを持つだけでなく、自らがメディアの担い手として責任を持つことを書いています。
10月号では、同じメディア・リポート「新聞」コーナーの「ネットとの競合に直面する新聞スポーツ報道のあり方」でブログが紹介されているのが目を引きました。筆者の朝日新聞スポーツ部デスクが担当するアサヒコムのコラムより、ブログ「脚と角」がアクセスが多く、人気があり、新聞のコンテンツが「市民ブロガーに負けている状況」(市民というのに違和感がある…)と紹介。
これを題材に学会でワークショップを行ったそうで、「ウェブの世界では新聞の百貨店方式は支持されにくいのかも」「速さでなく何かに特化したほうがいい(とアドバイスを受けた)」「スポーツ関係のブログを見ても、取材、論考、執筆の質の高いものがあり、もはや競争相手はあまたの人だ」「ブログはプロでない人が好き勝手に書いたものでジャーナリズムとは呼べないとの指摘があるかもしれないが、ジャーナリズムと呼べるレベルにあるか否かは読んだ人が判断すること」などと書いています。
百貨店の例えや受け手が判断するジャーナリズムはかなり前に私も書いているし、他の部分もネットではジャーナリストや研究者が指摘していることも多く、なんとも周回遅れな議論で、いまさら新しく分かったように書かれても…と思うのですが、「新聞」のリポートとして書かれたことが一歩前進なのかもしれません。
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