ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

WOMマーケティング協議会の発足イベントで基本理念を発表しました

設立準備会から世話人として関わってきたWOMマーケティング協議会(WOMJ)の設立イベントがADKで行われ、運営体制などが発表されました。春からガイドライン検討ワーキンググループで議論を行い、策定した基本理念を委員長として発表しました。ここまでたどり着くことが出来たのは、400人を超える発起賛同人や、準備会のワークショップで議論した多くの皆さんのおかげです。ありがとうございます。
WOMJは、この基本理念に賛同して頂ける法人と個人の会員を募り、活動を行うことになります。

【基本理念】
・WOMマーケティングに関わるあらゆる人、組織は、正直に、良心に基づいて行動しなければならない。
・消費者の利益にならないものは、WOMマーケティングではない。消費者が正しく、多様な情報を得る権利を最大限尊重する。
・口コミは自発的なものである。金銭で生み出されない。誰からも強要されず、発信者の自由意思が尊重される。

これらは、準備会のワークショップで参加者の皆さんから出していただいた意見、アメリカWOMMAのガイドラインを参考にしながら、委員が4月の合宿などで議論して、取りまとめたものです(活動はすべて自費で行われました)。口コミマーケティングに関わるみんなの知恵が生んだ基本理念です。
基本理念のような大まかな方向性では対応しきれない個別の事象についてはガイドラインを策定していきます。まずは、マーケター(企業側のものというイメージ)とブロガーの二つのガイドラインについて、会員の皆さんと一緒に作っていくことになっています。関心がある方はぜひご参加ください。ワークショップは関西での開催も予定しています。なお、基本理念やガイドラインは社会状況に応じて見直されていくことになっています。

イベントでは、理事長に就任したPR会社ビルコムの太田さんからWOMJについて概要説明があった後、総務省の安藤英作情報流通新興課長から「自主、自立的な取り組みが重要。社会的な問題が起こらないように、もし起きれば適切な方向にしていく、そんな団体になったらいいなと思います」、経済産業省の村上敬亮前メディア・コンテンツ課長(CNETのコラムでも知られています)から、「大事キーワードは共感力。消費者の財布の紐をひらかせるのは、共感を引き起こすマーケットコミュニケーション。これは日本の産業競争力にとっても、とても大事なこと」など、設立に寄せるメッセージを頂きました。
「お役人」というと退屈な話というイメージがありますが、お二人は自分の言葉で、WOMマーケティングや団体への関心について話されていました。WOMJは、これまでの業界団体に比べて、個人の「想い」が積み上がって設立されたというプロセス、理事の年齢や運営体制も異なりますが、二つの省から応援していただけるというのは時代の変化を感じます。
ただ、インターネットや口コミといった新たなビジネスに関わる人が省庁と縁遠かったのは、公共性、社会性にあまり気を配ってこなかったという側面もあります。ネット規制が強まり、社会的責任を求める声が高まっていることを考えると、これからは個別企業の利害を超えて業界として協力して対応する場面もあるでしょう。安藤さんのお話でも社会との摩擦について警鐘を鳴らす話もありました。口コミの楽しさやネットで発言することの自由を守りたければ、企業だけでなくユーザーも含めて、声を発していく必要があります。
このような話はこれまで日経IT-PLUSのコラムなどで何度も書いてきましたが、あまり理解を示してもらえないことが多かったのですが、懇親会でネット規制に直面している企業の方から、団体化やガイドラインの重要性について「問題が起きてからでは遅い。規制に直面するまでは分からなかったが、団体やガイドラインといった自主的の取り組みがとても大事。ぜひ一緒に取り組みたい」と言っていただき、委員長を引き受けて取り組んできた甲斐がありました。
理事には入っていませんが、引き続きプロジェクトのリーダーとしてガイドライン策定に取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。

口コミにからんだ商品の紹介やジャンケン大会があった懇親会は笑顔があふれました。大変面白かった夏野さんの基調講演については、また別エントリーで紹介するかもしれません。
【メディア記事】

【関連エントリー】