ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

良いインタビューのための3カ条

大学生向けのジャーナリスト育成プログラム「スイッチオンプロジェクト」の第1回全体ミーティングが25日に立教大学で行われました。内容はインタビューを学ぶワークショップと企画書や質問の確認です。

模擬インタビューでは、二組のデスクが15分の持ち時間で、人生の転機となるスイッチオンの瞬間とその理由などを聞きました。
各デスクの技や工夫がぎゅっと詰まっていて大変参考になりました。進行役として一番近くでインタビューを見ることが出来、とても幸せな気持ちになりました。
その後、各デスクから良いインタビューのための3カ条の説明がありました。

美浦デスク
(1)冒頭、インタビューの趣旨をあらためて簡潔に説明。自己紹介も兼ねて事前の準備状況(作品を見た、著作を読んだ、ブログを読んだ、紹介記事を読んだ−など)も伝える

  • 取材は相手から見られ、値踏みされている。

(2)やり取りを録音する場合でもメモはしっかり取る。録音した場合は、原稿作成に取り掛かる前にやり取りを書き起こす。

  • 録音は了解をもらってから行う。録音していると「後で確認すればいいや」と手元のメモがおろそかになりがちだが、取材中から話のポイントを押さえ、流れを持った質問を組み立てていくためにメモは必ず取る。その上でテープ起こしをして、話した言葉の言い回しのディテールを押さえる

(3)相手の目を見て話す。正しい敬語を使う。

寺島デスク
(1)下調べをしておく。できる限りの資料に当たり、読んでおく。

  • 調べることで、相手の像が具体的になり、自分なりの視点や仮説が生まれる
  • 具体的に「分からないこと」が増えるほど質問のポケットが増える

(2)相手をリラックスさせる。Ice-Breakingの話題を考えておく。

  • 生きた言葉で相手の心を溶かす。質問が詰まったときにも使える

(3)事前の仮説に執着しない。予想を裏切るのが、生きた人間、ほんとうのニュース。

  • 事前の予想を超えた言葉を聞けなければ良い記事にならない。
  • 「えっ?」と思うような言葉は話の鉱脈。仮説を立てることと矛盾するかもしれないが、インタビューは生き物
  • ライブトークの司会は「聞き上手」

野田デスク
(1)大いなる好奇心と情熱を持ってテーマ・インタビュイーにあたる。

  • 相手の考えが知りたいと思う好奇心が「なぜ?」を生み出す
  • 熱は人を動かす

(2)投げかけるテーマや質問に対して自分なりの意見を持つ。

  • インタビューは質問するだけでなく、相手に質問されることがある

(3)「!」「?」は必ず書きとめる。

  • 印象的な言葉はメモする。!は見出しになる確率が高い
  • ?は話を膨らますきっかけになる。同じ話題でも違った角度から答えてくれることもある

難波デスク
(1)インタビューは双方向なコミュニケーション行為である。

  • 自分から情報を提示し、自分も心を開く。自分の大切な情報を出さなければ相手もだしてはくれない

(2)「なぜ?」という質問は、自分との相違点において出てくる。
(3)「わかった!」(共感した)と思った時、ほんとに「理解した」のか確認する。

  • わかったに注意。自分の言葉で言い直して、相手にぶつけて見ると違う反応が返ってくるときもある

重複している部分もありますが、どれも重要な指摘で、納得するところが多く、メモを取りながら聞いていました(学生の中にはメモをあまりとってなかった人もいたようだけれど、とてももったいないことをしたと思います)。
寺島デスクは、野田デスクの記事を印刷したものを束にして持っていて、ノートに質問事項をまとめていたのが印象的でした。聞けば、忙しい中、夜通し準備したそう。
インタビューに慣れてくると、ついつい準備を怠りがちになってしまいますが、15分という短い時間の模擬インタビューにも関わらず、しっかり準備する真摯な姿勢に感銘を受けました。テクニックはすぐには上がりませんので、参加学生は準備をしっかりしてインタビューに望んでもらいたいです。

この後、模擬インタビューを参考に、参加学生同士の相互インタビューを行いました。実際にインタビューを行ってみて、難しい点、もっとこうすればよくなるという点を、メモに書き出し整理して再確認しました。
企画書、インタビュー相手への質問表などにOKが出れば、アポイント取りに進みます。運転免許で言えば、いよいよ路上へというところ。皆さん頑張ってください。

模擬インタビューを披露してくれた美浦デスクもブログでミーティングの模様を報告してくれています

【関連エントリー】