ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

OBSの夜、変化は小さなところから

「アンケートで市場は分るのか」をテーマに28日、第2回大手町ビジネススクール(OBS)を開催しました。土曜日の夕方にもかかわらず、家電、自動車、リサーチ、コンサルティング、ネット、通信、メディアなどに務める方の参加があり、中には業務としてマーケティングやリサーチを担当者もいて、ディスカッションも事例を交えた深いものになりました。スクール後の懇親会も盛り上がり、6時半にスタートして終わったのは10時半すぎでした。

懇親会ではメーカーの方から興味深い話を伺うことができました。
ある製品について開発部隊・マーケティング担当は「ニッチで十分売れている」と考えているのに、上司は「もっと売れるのでは」と考え、マス広告を打ってしまう。
国内市場は少子化、将来性の不透明感などで「右肩下がり」で、さらに製品市場も飽和状態なので「その製品にマス広告は効果がないのは分っている。ファンをつくって着実に売っていくほうがいいので、別のアプローチをしたいのに…」とおっしゃっていました。
その話を聞いていた社会起業家の方が「小さなコミュニティサイトを運営しているが、意外な大企業がスポンサーになってもいいと言ってくれている」というエピソードを紹介、ターゲットが明確なメディアやコミュニティは求められているけれど、まだお金がまわる仕組みや判断が不十分なのではないかという話になりました。

外から見ているとメーカーなどは大量消費・マスマーケティング思考なのかと思っていましたが、現場でユーザーを見ている人は違った考え方を持っていることを知ることが出来て新鮮でした。
社会は変わっているのに、意思決定を行う人が「昔の思考回路のまま」というのは良く指摘されることですが、そこをどうかいくぐりながら新しい時代に対応していくかはどこの組織でも直面していることなのでしょう。

もし、「マス広告は効果がない」ということを理解してる人が意思決定できる立場になったら広告費の流れが変わるでしょうし、多様な方法でユーザーにアプローチする広告も生まれるかもしれません(もちろん製品やサービスによってはマスで売れるものもあるので、すべてが消えるわけではない。さらに意思決定する立場になったらすでに時代がもっと進んでいるということもあり得る)。

普段は出会えない色々なバックボーンの人と知り合えるのがイベントの面白さです。残念だったのは、1回目には来ていただいた学生・大学院生の方がゼロになってしまったこと。1回目の運営がまずかった、課題を作ったので敷居が高くなった、など色々な原因が考えられますが、助け合いながらディスカッションできる雰囲気を心がけて行きたいと思っていますので、気軽に申し込んでもらえるとうれしいです。

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