ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

RTCカンファレンス「ブログ限界論」に参加してきました

RTC Vol.28:『ブログ限界論』に参加してきました。三連休の初日にもかかわらず100人以上が集まり、会場には著名なブロガーの顔もチラホラ。イベント後も多くのブログエントリーがアップされていることも関心の高さを示しています。

参加できなかった方は、Parsleyさんが詳細なログをアップしてくれていますので、そちらをご覧ください。

途中参加だったのでParsleyさんのログや各ブロガーの感想も加味して判断しているのですが、「限界論」と銘打った割りには焦点が定まらず良くわかりませんでした。既にブログにはある程度の影響力があり(秋葉原に100人も集まっている)、これまでに出会わなかった人と出会えるようになりました。重要なのは「一体何をしたいのか」ということでしょう。

広島でオフ会が開かれたことや中小企業にとって情報発信ツールとして有益というのも、ブログのメリットですが、「インターネットで人がつながるということ」でも書きましたが、そのような「新しい状況」というのは、掲示板、ホームページと新たなメディアが出るたびに大なり小なり繰り返されてきていることです(ブログはこれまでに比べて大きな波だとは思います)。
ブログをつまらなくしていると問題となっている、スパムやブログを使った節操の無い広告手法についても、影響力が大きくなってきているから起きているとも考えられます。しかし、スパムの増大は検索エンジンへの「ブログ除外」ボタンの設置や、徳力さんがショックだったと紹介している「何あれブログって。物売ろうとしてウザいんだけど」といった一般ユーザーの認識にもつながってきています。
このスパムなどの問題を乗り越えるためには、検索エンジンやブックマーク、ソーシャルニュースといったテクノロジー側での対応ももちろんですが、ブログ側による対応、コンテンツのクオリティコントロールも重要になるのではないでしょうか。

ウェブログ・ハンドブック―ブログの作成と運営に関する実践的なアドバイス
「ブログ限界論」が話題になったあと、2003年に邦訳版が出たレベッカ・ブラッドの「ウェブログ・ハンドブック」を読み直しました。流れが速い業界なので古くなっている部分もありますが非常に示唆に富んでいます。
レベッカ・ブラッドは「ウェブログの最大の強み-検閲を受けず、間に入るものがなく、規制されない言論であること-は、最大の弱点でもあるということだ。報道機関は、結局のところ、広告収入に縛られるかもしれないし、報道記者には、輪の中に留まるために自分たちの情報源と良い関係を保つことへの強いインセンティブが存在するのかもしれない。しかし、給料を支払い、スポンサーを満足させ、そしてオーディエンスを魅了して獲得するビジネスなのだから、プロの報道機関は、読者が購読を継続し、スポンサーが広告枠を買い続けるように一定の基準を維持することに強い関心を持っている」と指摘して、倫理規定を提案しています。
これは、ブログとジャーナリズムといった話ではなく、ブログの価値を担保するためにコンテンツのクオリティに気をつけたほうがいいという指摘です。この点はもう少し考えたほうがよいと思います。

以前に「Blogger's etiquette」を提案したこともありますが、ブログの価値を担保する方法については引き続きチャンスがあればアクションを起こして行きたいと考えています。

ちょっと追記 それと「アルファ」という言葉や概念にあまりこだわらないほうがいいと思います(RTCの恒例ケースのお題も「なんだかなー」だったし、アルファブロガーに選ばれない件について声をかけてもらっても、あまり興味が無い…すいません。女子大生ブロガーなんて、自ら「アルファブロガーの○○です」って名乗ってるんだしね)。だから、「今後、"アルファブロガー"はもっと「人を動かす」ブロガーになって欲しい(かも) 」(ALPHA LABEL)なんて言わずに、それぞれのブロガーが少しずつ取り組んでほしいと思います。ブロガーが増えていけば数%のブロガーが反応してアクションを起こすだけで、社会や政治へもそれなりの影響を持つようになるはずです。
誰かに責任や役割をお願いするのではなく、ブログの特徴(というよりインターネットの特徴そのもの)である自律・分散型のネットワークを生かして「100人のうち1人が反応する」ことを信じて、それぞれが小さな声を積み重ねていけばいいと思います。