ガ島通信

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モバイル社会フォーラム2007・パネルディスカッション「コミュニティのリアリティ」

パネルディスカッション「コミュニティのリアリティ」
登壇者は、東海大学河井孝仁准教授、NTTデータシステム科学研究所小豆川裕子主幹研究員、首都大学東京水越康介准教授、モバイル社会研究所遊橋裕泰主任研究員

水越「セカンドライフなどの3D空間が注目されている。コミュティサイトを広告の場として活用したい。コミュニティサイト自体をひとつの市場としたいという要望がある。課題は技術、課金、ビジュアル、競合など。仮想空間は無限の市場になり得る。原材料がゼロでコミュニケーションだけの世界は究極的な消費社会になる」

遊橋「世の中のクリエイターはどう考えているのかという傾向を分析。説明文をデータマイニング。ポジティブなイメージ、都市の中に情報と結びつきを持った空間が作られる、従来とは質の異なるコミュニケーションが生まれる、ネガティブなイメージはリアルなコミュニケーションが質量ともに貧弱になるなど」
河井「外から見えるデザイン、セカンドライフは外から見え辛い」
水越「セカンドライフの使い方をミクシィで語り合う。セカンドライフ側が用意しても使わずに、ユーザー側が自分で作ってしまうのではないか」
河井「モバイルを利用した地域のコミュニティについては」
遊橋「固定するのは理由がある。人の活動を何かに固定するので不自由になる。どれだけフレキシブルに動かせるのか。例えばオフィスで寒い場所、暑い場所が出ても動けば風邪をひかない。一律、均質にようとするが、そんな環境を作る必要はない。いまの電話の機能だけでは不十分で、コミュニティを持ち回っても大丈夫なものが登場するかも」
河井「携帯があると常時接続されている。いまここの気配を知ってほしい。Twitterのようなもので気配を知らせるのかも」
水越「セカンドライフで携帯と接点があるとすれば、携帯メールで顔文字をつけるが、謝っている言葉と顔とどちらが大事なのか。顔のほうが大事なのではないかという議論があってアバターに似ている」
河井「オフィスを設計するときに携帯を考えているのか」
小豆川「会議中でも、電話に出るという人も入ればメールを見る人もいる。機能が組み込まれた空間が考えた方がいいという議論はある」
遊橋「メディアを使い分けている。メール、電話は補完関係にあるのではないか。ある経営者に聞いた話では、電話をかけた量に仕事の業績と連動しているが、メールは連動しないそう。いまどういう状態にあるか、気配として感じられる工夫が出来ればいい。場所を設計するときに、人の気配を感じられるように作っておく」
河井「会場からの声。おせっかいは重要。リアルとICTの地域おこしは、水と油の関係ではないか。閉じた社会を望む声もある。地域は年配者が多いのでネットへの理解が進まないなど」
小豆川「おせっかいを歓迎するというのも重要。デジタルデバイドが言われた時期もあるが、むしろ時間がある分できるのではないか」
遊橋「あまり悲観的に考えてなくて、ノウハウが十分経験されてないのに最初のコンフリクトを考えるのはもったいないと思う」
河井「事例で紹介したが、グループで入ってもらうことにしている。そのグループの中の誰かがネットを使えればいい。オフラインでの人間関係をいかにネットに持ち込むか。これがセカンドライフだとリアルとバーチャルがどう繋がるのか」
水越「秋葉原や巣鴨が構築されて日本人が集まっている。そこで人と出会うこともある。観光のメッカなので外国の人もいる」「基本的に水と油のところもある。地域のコミュニティがICTが入ることで解体するとは思わないが、以前のコミュニティとは違うかもしれない」
河井「合意形成に使えるのかという質問がある」
小豆川「意思決定というのは人がする。背後の情報をSNSで知ることでスピーディーに意思決定するということはあるのではないか」
河井「瀬踏み、気配というものには使える。データベースがあって、過去の発言なども見える。ただ、ネット上で合意形成するのは私は懐疑的」
河井「コーディネーターや管理人のインセンティブについての質問。評判=レピュテーションが見える仕組みがあればと思ったりするが…」
遊橋「人は人に認識されたい。励ますメールを繰り返し見るとうことがある。そういうことをしてくれるエディターが支持される。それがインセンティブかどうかは分からないが、コミュニケーションの飢餓はあるだろう」