ガ島通信

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日本労働組合総連合会「各党マニフェストに対する連合の評価−わかりやすいマニフェストの実現に向けて−」

安倍政権は基本的には小泉政権の路線を継承している。市場経済万能主義、財政再建最優先の社会政策によって、さまざまな社会問題が生まれている。格差の二極化、地域の疲弊といった問題への対応が不十分。国民生活がどうなっているか、安倍政権は直視してほしい。
教育基本法、憲法改正法案の国民への説明が十分であったかという点は疑問で、辛目の点数にせざるを得ない。社会保険庁、公務員制度、法案の是非はおいておいて、採決の強行の連続で強権的である。審議会の役割分担、機能の優先順位が不明瞭。安倍内閣は何を目指そうとしているのか。目標とするものがあいまいなままで、強権的な運営が目立ったと評価。

評価については、マニフェストのあるべき姿を念頭に置いた。
マニフェストとは政党が政権党となった任期中に実現しようとする具体的なパッケージで有権者に示すもの。各党のマニュフェストがこの定義に即するのかも検討した。現時点で示されているのは、あるべきマニュフェストの条件から見ればまだまだ不十分。選挙が近づくにつれて、より具体性の高いものが示されるだろうが、選挙にあわせて急いでまとめるのではなく、普段から、常に政策を鍛え、実績評価、バージョンアップして、さらに各党が国民にとって分かりやすいマニュフェストを提示してもらいたい。

評価項目は、策定過程は外部からは見えない部分が多くある、三党の比較が出来ないので評価項目から除外した。形式用件を薄く(30点)して、内容に厚く配点(70点)した。また、連合としては過去点数はつけていなかったが、初めてつけた。連合の政策にあっているか、近いかという極めて主観的な基準で評価した。党の政策全体を正確に評価したものではないことをお断りしておきたい。

自民党は45点。政権を担う最大政党。構造改革の負の部分に日を当てようという姿勢は評価するが対策が不十分。さまざまな格差の拡大、二極化、厳しい生活を強いられている人々に安心と安全をどうしていくのか。美しい国も結構だが、安心と安全を担保する社会保障は政権党としては不十分。

公明党30点。力点は分かりやすい。政権与党としては、構想を示したほうがいい。暮らし、生活に焦点を当てた政策を提示しているが、雇用や労働とか地方分権に対する、重点公約に記載されていない。

民主は霞ヶ関のサポートを受けられないという野党のハンディキャップを持っているので、割り引いて配点した。マニフェスト自体は民主党は十八番といえるもの。マニフェストらしい、あるべき姿を前回以上に示してほしかった。相当に工夫が必要。社会保障、雇用、格差は、取り上げている。的確な問題意識だが形式用件は低い。60点。

参議院選挙が近づいてくる。貧困、二極化、衰退する地方、企業や行政の不祥事、これまでの改革の影の部分が表面化している。しっかり政策を各党が掲げ、これまで以上に分かりやすいものにしてほしい。